先月はいきなりピピ容疑者「深夜に鳴る謎のピアノ」のお話からスタートしましたが、その後もまだまだ事件は続き、いよいよ今月は逮捕しようかと思いつつも年末恩赦という話もあるし・・・。
まぁ、年の終わりには温情をかけて幕引きにしようかな、というところです。
それにしても、ネコのいたずらは天才的で、もはや哲学の領域に入るような気がしています。

12月を迎える最近の空は、ことの他穏やかで、このお便りは陽だまりの中でユックリ、のんびりと書いています。
ベランダの木々たちは、もうスッカリ葉を落とし、この間まで深い緑のこぶしだった椿の芽には、うっすらと紅色が混ざってきました。
もうじき花を開かせるのかな?
そんな気がして、とても楽しみです。

とろこで、今日は何のお話にしましょうか?
年末なので少し気が引き締まるような感じでいきましょうか・・・。
気が引き締まるといえば、やはり弓道の世界かしら。
弓道をひとことで表現せよというのであれば。「正射必中」。
この言葉は、奥行を考えるだけでキリキリと身が引き締まってきますが、さてこの「正射必中」とは、どんな状態のことを示しているのでしょうか?

ここで、この四文字熟語をジッと見つめて、まず考えてみましょう。
正射と必中と分けて「正しく射れば必ずあたる」。
え? そうだけど? マジ単純じゃない? それって凄くあたりまえのことでしょう?
良く見て、的にあたるように練習すれば当たるようになるでしょう・・・。
となるワケだけれど。
この当たり前の言葉の中の中に秘められている精神性の深さに、一年を締めくくり新しい年をむかえるヒントがあるのです。

ではみなさんも一緒に、もう少し深読みをしてみましょう。
「矢を的に当てるように練習する」
矢をつがえ、じっとマトを見て引き絞り、更にじっと的を見て矢を放つ。
ここでよく見て射れば当たり!
ですが・・・、これだけでは精神論を語ることはできません。
そこで、もう少し発想の寄道をしてみます。
矢を的に当てることを、まずは一旦、頭の中から追い出し、ただただ正しく射るということにのみ全神経を集中する。
すると放った矢は的に吸い込まれるようにして見事に当たる。

煎じつめていえば 「的をねらってはいけない」、正しく射ることに、ひたすら気持ちを集中させる。

これは私たちの日常生活の中にも応用できます。
簡単に言えば 「プロセスを大切にすると、結果は必ずついてくる」、ともいえそうです。
逆の言い方をすれば 「手抜きしたり、焦って結果ばかり狙っても、まぐれでたまに、ひとつくらいは当たっても、コンスタントには当たり続けられない」、とも言えそうです。
そう考えると丁寧に一生懸命に頑張っていると、マトの方から御褒美として当りにきてくれそうですね。

わたしも丁寧に占いをしようっと。
だって、なんだか「当たり!」の方から歩いてきてくれそうでしょう?  )^o^(

冗談はともかくも今月は来年というマトにむかって、この一年の思いを込めて静かな気持ちで未来を見つめ、新しい矢を放ってください。
あなたの心の矢が新しい年にむかって、清く力強く飛んでいきますように。

本年最終のお便りになりました。
今年書いた12通のお便りの中に少しでも、あなたの心の薬箱になったものがあればうれしく思います。

エミール



写真は新宿御苑の紅葉です、今年も楽しませてもらいました。


まだまだコロナ感染には気の抜けない日が続きそうですが、しっかりと予防対策を行い、元気に新年を迎えましょう。