前日、バンバン鍵盤の上を歩き大きな音をたて、母(エミール)にさんざん叱られたばかり。
その翌日のことであった。

ここで早速取り調べ室に連れていき調査を開始したいところだが、いかんせん眠い。
ピアノの蓋をせずに、そのままにしておいた当方の落ち度もある。
などなどの理由により容疑者をみすみす見逃してしまった。
翌日、鍵盤に残っていた肉球の痕を見て「やはり犯人はお前か?正直に言いなさい」と自供を促したが「ニャンのこと?」とばかりにのんびりと毛繕いをしている。



人間界だと、ここで人情刑事が登場して「本当のことを言いなさい。言えばかつ丼かピザを注文してあげるから。ネ、正直に罪を認めなさい」という場面になるのだろう・・・。
が、ネコ界には、さっきとか昨日などと言う過去はない。
彼らは常に、今のみを生きているので3分前にしでかした罪でも5分後には時効が成立しているのだ。
いかに「鰹節をあげるから本当のことをいいなさい」と言ったとて、何事もなかったかのように「ごっちゃん」と相撲取りのようにどかんと座りこんでシッカリ食べ、あとは丸くなってコックリ・・コックリ・・。

いいなぁ~ネコって!
ネコにしてやられている晩秋の一場面です。
こんにちは、エミールです。 お元気でしたか?

日照時間が少なくなると、大なり小なり人はネガティブになるという説があるけれど皆さんはどんな感じでしょう。
11月を迎え太陽は足早に西の空へと急ぐサイクルに入り、明るいうちに片づけておきたかったことはまだ残っているし・・・。
来月はもう最終月に入るし・・・等々、心理的に焦ってしまいますよね。
結果、落ち込んでしまうこともあるのではないかしら? 
あー、これってネガ?

さて、そんなところから今月は「ネガティブって悪いこと?」についてのお話です。
まず最初に、私はたぶん「ネガティブ友の会」会員かな? からスタートします。
え? 日頃私の言動を見ている人は「そんなことはないでしょう?」という感想があるかもしれませんが、表面と内面は時として一致しないもの。
実はこのお便りに書くべきかどうか? と少し迷いましたが「明るい」か「暗いか」の判別基準で、いつも自分は暗いからネガ。
ネガ=(イコール)いけないんじゃないか? と秘かに悩んでいるあなたに捧げたくて告白します。

まず私は無責任に何も考えず、「頑張って」と言葉をかけるのも、かけられるのも余り好きではありません。
そんなことを言われなくても、みんな自分で頑張っているんだから、ここは「応援しています」とか「見守っているわね」の方が、真の気持ちが伝わるのではないかしら。
ここから、スタートします。

何かに対して真剣に取り組む姿勢。
この体制に入ったときにネガなタイプは「頑張って」という言葉よりも、「応援」シリーズの方が心のスイッチが入りやすいと思う。
ネガの思考回路がエンジンとして稼動するタイプの人は、劣等感やコンプレックスといった負のエナジーがエネルギー源になることもあるのです。
マイナーな部分から生まれた成果が、全てマイナーな産物になるとは限らない。
私の人生の経験上、負から生まれた産物の方が力強く、いつまでも綻びを知らない完成度が高いような気がします。

それは何故か?
ポジである時は、ウキウキと遊び半分でもあり、どこかに慢心がある。
勝ち戦ばかりしていると、やがて工夫を怠り自己満足という自分肯定感の海に溺れてしまう。
その点、ネガエナジーは底力がある!
ダメかもしれないと悲壮感が漂い、もうだめ、今度こそ絶滅の危機。
と試行錯誤しているうちに、どんどん負け戦的心理にのっとられ、遂に「むなしい~」の苦痛がやってくる。
この「むなし」の語源説は、実や身のないことに由来するらしい。

こんな気持ちが時として、名作を生むキッカケを作る。
このむなしさを強く噛みしめるのである。
ここに「真剣」の誕生となる。
むなしくて買い物に走ったり、暴飲暴食という手もあるが、グッとこらえ、とことんネガに徹する。
思いっきり谷底に落ちることで、負のテコの原理が大きく働きだす。

自分がネガな子って思っているあなたは、どうせだったら中途半端なネガはやめて思い切り噛みしめてみてはどうでしょう。
きっと、心の中に凄いバネが誕生するはずですよ。

「ネガティブシンキング友の会会報11月号」は、もの事に向かう姿勢の極意。
その一をお伝えしつつ、全国のネガ友に捧げます。
ネガって、決してNGじゃないってこと。
わかった?

               エミールより