しみやソバカスのない白い肌になりたければ、青野菜=濃い緑色の野菜をたっぷり食べましょう! スーパーや八百屋さんで人気がある野菜は、玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、大根、キャベツにレタスと、緑ではなく薄い緑、あるいは白っぽい野菜(もしくは緑黄色野菜のうちの黄色野菜)。でも、これらの野菜にも増して、青野菜には肌をキレイにする要素がたくさん含まれています。地味だけどすごいパワーの持ち主「青野菜」に注目です!

青野菜とは、小松菜、ほうれん草、ツルムラサキ、モロヘイヤ、春菊、水菜、にんじんの葉、ブロッコリー、葱の青い部分、シソの葉などの見た目が濃い緑色をしている野菜のこと。
特に葉物の青野菜は、火を通すとカサが減り、一度に量を食べることができるのでおすすめです。

空気の中には酸素が含まれていて、私たちはこの酸素を呼吸によって体内に取り入れています。酸素は人間にとってなくてはならないものですよね。この酸素の一部が体内で変化し「活性酸素」と呼ばれる物質に変わります。
この「活性酸素」が悪者なのです!!
誰もが「活性酸素」を持っているのですが、ストレスや喫煙、不規則な生活や偏った食習慣(添加物の入った食品や肉ばかり食べる偏食など)によって「活性酸素」が多くなり、しみ、シワなどの老化現象、はたまた生活習慣病、がんを引き起こすと考えられています。
ここで救世主、野菜の登場です!! 野菜にはビタミンやミネラルが豊富に含まれており、活性酸素を抑える効果、つまり「抗酸化作用」があるのです。そして、色の濃い野菜は抗酸化作用がより高いことが分かっています。同じ野菜でも青野菜をおすすめする理由はそれです!

もう少し詳しく青野菜の抗酸化作用を見ていきましょう。
東京大学農学部を卒業後、陸軍で日本人のための栄養学、食糧学を研究した川島四郎先生(1895~1986年)は、ベストセラー『食べ物さん,ありがとう』の中で「最近の(日本人)女性は昔に比べて、しみ・ソバカスが多く、肌が荒れている。肉類のような酸性食品を食べすぎているからだ」と指摘しています。この本が発売された昭和60年(1985年)ごろから、しみ・ソバカスがある日本人女性が目立ってきたようです。
さて、酸性食品とは、上で説明したように活性酸素を生み出す食品のことです。活性酸素が増えると、

血液が粘り血行が悪くなる

血行が悪くなれば、血液に含まれている酸素や栄養物が体のすみずみに届かなくなる

皮膚やその下の組織にたまっている老廃物を残すようになる

しみや肌荒れの原因となる!!

つまり、美肌になるコツは、サラサラの血をつくって血行を良くすることなのです! サラサラの血をつくるには、青野菜が欠かせません。青野菜の緑色は葉緑素! この葉緑素と血液は、化学構造式で見るとそっくりなのです!
どちらも<ピロール核>というのが4個あり、そのまん中に<鉄>が一分子入っているのが血液の赤い色素、<鉄>の代わりに<マグネシウム>が一分子入っているのが葉緑素です。

(参考:『食べ物さん,ありがとう』より)
つまり青野菜の葉緑素は、身体に入るとマグネシウムから鉄に代わって、血液そのものになるのです。
毎日、青野菜を食べて血をどんどんつくり出すことが、赤ちゃんのようなツルツル美肌になる秘訣だったのです!!

青野菜を食べる目安は、毎日200~400グラムが望ましいとされています。川島先生は、小松菜を毎日400グラム食べていたそうです!(90歳代で、しみがほとんどなくツヤツヤ顔の写真が残っています)。
これは生だとかなりの量となり、食べるのが大変そう。でも、煮たり焼いたりして火を通す、あるいはジュースにすれば毎日食べることができます。
そこで、簡単に美味しく青野菜を食べるレシピをご紹介します! 特に小松菜は栄養価が高く癖のない、とっても食べやすい青野菜です。

油揚げと青野菜のコンビは最強! 色の濃い野菜に含まれているビタミンAは、油と一緒に食べると吸収率をアップし、目を良くします。美肌と潤んだ瞳になる一石二鳥レシピ
<材料 2人分>
・小松菜・・・・・・一把(いちわ)(200グラム)
・油揚げ・・・・・・一枚
・鰹節でとった出し汁・・・・・約1カップ
(合わせ調味料A)
醤油・・・・大さじ2
みりん・・大さじ1
酒・・・・・・大さじ1/2
<つくり方>
①小松菜は根元を切って、ついた土をよく洗い、3等分に切る。

②油揚げは熱湯でさっとゆでて水切りをし、2センチ幅に切っておく。

③お鍋に出し汁を入れて強火にし、煮立ったら「合わせ調味料A」を入れる。再び煮立ったら②を入れて2~3分煮る。

④小松菜を③に入れて、フタをして2分ほど煮る。お皿に煮汁ごとよそってでき上がり。

続いてのレシピは……

野菜も果物も生で食べた方が、ビタミンCや酵素を多く摂取できます。生ジュースは毎日青野菜をとるのに理想的。
<材料 2人分>
りんご・・・・中くらいの大きさ1個
小松菜・・・・2~3本(約75グラム)
水・・・・・・・・300CC

<つくり方>
①小松菜の根元を切って洗い、適当な大きさに切る

②りんごの皮をむきタネをとり、ミキサーにかけやすい大きさに切る

③ミキサーに小松菜、りんご、水の順で入れてフタをし、スイッチを入れる。

④全体が混ざったら完成。時間が経つと成分が変わるため、保存せずにすぐに飲むこと!

ちなみに葉緑素は、青野菜以外に昆布や緑茶にも入っています。青野菜と一緒に昆布や緑茶をとると効果的ですよ!

美味しくて「気」が充実した伝統野菜

野菜は生きものですから、採れたてが一番新鮮! しかも、地元で昔から採れる「在来種」の野菜は、そこに住む風土と気候に合わせてできた野菜のため、地元の人々の身体に一番合っており、美味しい上に、その「気」は最強です。食べて元気になる野菜とも言えます。
<在来種のタネとF1のタネ>
「在来種」とは、遺伝子操作をされていない自然にとれたタネを使い、同じ土地で10年以上栽培された作物のことです。そして、そこからとれたタネが「在来種のタネ」です。
しかし、今、全国のスーパーや八百屋さんで売っている野菜のほとんどは、在来種ではなく、毎年農家がタネを買ってつくっている野菜です。このタネは「F1のタネ」と呼ばれ、タネの中に遺伝子情報(肥料や農薬を撒く時期や、虫に強いなど)が組み込まれていて、育てやすい上に、でき上がりが同じ形(真っ直ぐなキュウリやナス、大きさもほとんど同じなど)となるため、世界中で使われています。
ただし、これは一世代しか使えない(そのタネをとって次世代の野菜をつくっても、同じものはできない)ため、農家は毎年「F1のタネ」を買って、育てなければなりません。
「在来種」と「F1」、どちらが野菜の生命力があって、食べて身体に良く、美味しいかと言えば、やはり在来種だと言われています。

<伝統野菜を食べてみよう>
1980年代以前の日本では、できの良い作物からタネを取り、育てた野菜づくり(在来種の作物)が基本でした。しかし、これではタネを取る手間がかかり、自然の作物なので毎年でき上がりがやや不安定です。虫にもよく喰われてしまいます。
また、曲がったキュウリやナスよりも「F1のタネ」でつくった真っ直ぐなキュウリやナスの方が売れることもあって(味は曲がったほうが美味しくても、見た目が悪いと売れない)、農家では「F1のタネ」が主流になりました。人口が爆発的に増えた今の世界では、不作がなく、安定した供給が約束される「F1のタネ」の存在が大きいことは事実です。
一方、日本では「在来種」の伝統野菜が見直されています。「なんといっても美味しさが違う!」と、レストランで使うお店も増えてきました。
スーパーや八百屋さんでも「伝統野菜売り場」があるお店が増えてきました。見つけたら、ぜひ食べてみましょう。伝統野菜(在来種)で、さらに地場野菜(地元の野菜)であれば野菜が持つエネルギーが高く、免疫力を高めてくれるはずです。

※写真は小松菜の発祥地である、東京都江戸川区の小松菜(現在の様子)。「小松菜」の名前の由来は、鷹狩りで江戸川区小松川地区に立ち寄った徳川吉宗(8代将軍)へ地元の人が青菜を献上し、これがとても美味だったために吉宗が名づけたと言い伝えられています。「伝統小松菜」は、江戸東京野菜(伝統野菜)の注目株野菜。美味しい青野菜です!

<参考文献&参考ホームページ>
『食べ物さん,ありがとう』川島四郎/サトウサンペイ著(保健同人社)
『100歳までボケない がんにならない101のジュース』白澤卓二/ダニエラ・シガ著(新星出版社)
江戸東京野菜普及推進連絡協議会
http://www.edotokyo-yasai.com/index.html
日本シードマイスターネットワーク事務局
http://seedmeister.com/index.htm
農林水産省/特集 野菜をめぐる新しい動き 伝統野菜の実力(1)
http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1002/spe2_01.html

撮影/くにろく