2本のクスノキが仲よく並ぶ「縁結びの木」、夫婦円満、家族の幸せを守ります

【木の特徴】
原宿駅から鳥居をくぐり、鎮守の森をのんびり歩いて本殿へと進むと、まんまるい樹冠をしたクスノキが見えてきます。注連縄で結ばれて立つ姿は手をつないだ夫婦みたいです。

離れて見ると、こんもりと繁った樹冠はまあるくて、1本のクスノキのように見える姿も、“夫婦一体”の象徴のようです。私が訪れたとき、ちょうど神官さん、花嫁さん花婿さん、家族の方々が夫婦楠の間を通られ、ご縁が強く結ばれていくように見えました。

★この木を見るポイント⇒本殿への入口から見ると、まるで1本に見える。近くに寄ると2本が並んで立つ。

【歴史を伝える】
原宿駅の駅舎も周辺も大きく変わりましたね。久しぶりに行くと、駅の西口を出たらもう目の前が明治神宮でした。
大きな鳥居をくぐって参道を歩く、両脇に鎮守の森が広がります。ここは人が創った森です。
かつては荒れ地だったこの地に森を創ろうと、全国から奉献された約10万本が11万人もの人々の手によって植えられました。森づくりの計画を立てるにあたり、林学博士の本田静六氏や造園学の祖といわれる上原敬二氏たちが主木に選んだ樹種のひとつがクスノキでした。そのほか、カシ、シイなど、もともとこの地域に生育していた木をメインにしたことで、これほどの緑豊かな森となりました。
木々は今では人の手で管理をしなくても、自らの力で成長し、美しい森を保ち続けています。

【夫婦楠の教え】
愛すること、信じること、そして、感謝することをこの2本のクスノキは教えてくれます。あなたと出会えたことに「ありがとう」、そばにいてくれて「嬉しいよ」。時には声に出して、伝えてみませんか?

【この木に会いに行こう!】
JR山手線「原宿」駅、表参道改札から西口を出てすぐの明治神宮境内。本殿の夫婦楠まで徒歩約5分。

【クスノキとは?】
クスノキは“スサノオノミコトの眉毛”。
『日本書紀』巻第一神代上に書かれてあるんです。素戔嗚尊(スサノオノミコト)が出雲の国で八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治したあとの様子として。
「スサノオノミコトが、ヒゲを抜いて散らすと<スギ>になり、胸毛を抜いて散らすと<ヒノキ>になり、お尻の毛は<マキ>になり、眉毛は<クスノキ>になった」。
これらは日本に自生する木々。神さまのカラダから日本の木は生まれたと思うと楽しいですね。

○杉原先生の著作
『神話と伝説にみる 花のシンボル事典』
定価:3,080円(税込)A5判・並製・284頁 ISBN:9784906828357
⇒聖樹研究家の杉原梨江子先生が約220種の花の名前の歴史、物語、言い伝え、「シンボル」となるキーワードを丹念に集めました。植物学とは異なる、花の文化誌です。
http://www.setsuwa.co.jp/publishingDetail.php?pKey=177


○杉原先生がラジオ出演!
月に1度、『花のシンボル事典』から季節の花を紹介しています。
毎月・第3火曜日の19時25分から。
番組名:エフエムふくやま・本の情報番組「ブック・アンソロジー」<もっと素敵にマイライフ>のコーナーにて。
「YouTube(動画ラジオ)」でも聞けます。
『神話と伝説にみる 花のシンボル事典』より ミモザ(2021年2月)
https://www.youtube.com/watch?v=ups3d-i1kVk