天国の中でいちばん無垢で穢れのない花

ちょうど今、12月から3月頃まで咲くクリスマスローズ。
クリスマスの頃、バラに似た花を咲かせることから名づけられました。
花びらが薄く、透き通るような白や紫色が神秘的な花ですね。
咲き始めから開花まで、黄緑色から白、淡い紫やピンクへと少しずつ色が変化していくのも美しい花です。

クリスマスローズの女神は、イブ。
『旧約聖書』の「創世記」に登場する人類最初の女性です。
花のシンボルはイブとアダムの物語が由来なんですよ。

クリスマスローズは、天国の庭園で最初に咲いた花と言われています。
この花を、地上でも見られるようになったのは、アダムとイヴのおかげ………。
蛇にそそのかされて、イブが禁断の木の実を食べ、そのあとアダムにも勧めて食べさせました。神の怒りを買った2人は、エデンの園から追放されることになります。雪の降り積もる季節のことでした。

2人が育てた美しい花は1輪も持ち出すことは許されませんでした。
あわれに思った天使は、天国の中でいちばん無垢で穢れのない花を2人が持っていけるようにと、全能の神に願い出ました。
それが叶えば、絶望に暮れるイブたちにとって「救いになるでしょう、神への愛を信じる心が芽生え、生きる喜びにもなるでしょうから」と、頼んだのです。

純粋無垢な花というのがクリスマスローズのことでした。
神は花を持ち出すことを許し、イブとアダムはクリスマスローズを手にして、エデンの園をあとにしたのです。
それ以来、雪の降る季節、地上でこの花が咲くことになりました。


このエピソードが教えるのは、何が起ころうと、手を差し伸べる者はそばにいる、という救いのメッセージではないでしょうか。
罪の意識におののくとき、孤独に苛まれるとき。自分の内に閉じこもりがちですが、まわりに目を向けてみれば、心配そうにあなたを見つめる視線に気づくと思います。
一筋の光明というべき進む道も見つかるかもしれません。

この冬、クリスマスローズをアレンジメントの1つに加えてみてはいかがでしょうか。
クリスマスの花はポインセチアやシクラメンなど様々にありますが、エデンの園に咲いていた花、と思えば幸せな気持ちもふくらみそうです。

そうそう、花を贈るときにちょっと注意したいことがあります。
西欧では、花が開いたものを贈ると、幸運を渡すことになり、蕾のまま渡すとよくない意味を渡すことになると言い伝えられているんです。
きれいに開花した花を贈ってくださいね。

<12月に生まれた人へのメッセージ>
あなたは神秘的な魅力をもつ人。本音がわかりにくく、ひと筋縄ではいかないと思わせます。
あなたの言葉や行動は人の心を動かす力があります。
とはいえ、確固たる意志をもって何かを発信することはあまりありません。単なる思いつきやなにげないひと言が知らず知らず周囲に影響を及ぼすのです。
自分の発想力は独特、そう自覚してください。
他の人とは全く違う才能に気づくとき、大きな仕事を成し遂げます。
宝の持ち腐れになりませんように。

●この花のミューズ(女神):イヴ(生没年不詳)
『旧約聖書』の「創世記」に登場する人類最初の女性。エバとも呼ぶ。神が最初の人間アダムをつくった後、彼の肋骨からイブがつくられた。ヘビにそそのかされて、イブは神に禁じられていた善悪を知る木の実を食べ、夫アダムにも食べさせた。
彼らは裸への羞恥心に目覚め、イチジクの葉で下半身を隠した。
神の怒りを買い、2人はエデンの園から追放される。
禁断の木の実を食べるイブとアダムの姿は絵画、彫刻など多くの芸術作品の題材となっている。

○杉原先生の著作
『神話と伝説にみる 花のシンボル事典』 説話社刊
定価:3,024円(税込)A5判・並製・284頁 ISBN:9784906828357
http://www.setsuwa.co.jp/publishingDetail.php?pKey=177


○杉原先生の携帯サイト(フィーチャーフォン)
ケルトの森 木精占術
http://celticforest.jp/


○ラジオ出演
月に1度、『花のシンボル事典』から季節の花を紹介しています。
毎月・第3火曜日の19時25分から。
番組名:エフエムふくやま・本の情報番組「ブック・アンソロジー」<もっと素敵にマイライフ>のコーナーにて。
「YouTube(動画ラジオ)」スイセン放送中
https://www.youtube.com/watch?v=Yzxa4DfDR00