2020年12月大晦日を以て一年間の単元を締切り、新しい年が封を切りました。
泣いても笑ってもと言うがごとく、どんなに思い悩んでも、どのようにしてみても時間の法則が未来へとステージを変えていきます。

新年が始まりましたね!
年が改まったのですから、今日から運も改めましょう。
夜空を見上げれば天空では木星と土星が寄り添いながら、ピカリ! キラリ!
あなたに希望のシナリオを語っています。

さて昨年の年末のことでした。
あまりといえば、あまりにも散らかっている机の周辺をみて呆然とした私は、あと5日間で大晦日とハタと気づき(まだ12月の始めくらいだとたかをくくっていた)、カレンダーを横目で見ながら猛然と片付け作業を開始しました。
「泣いても笑っても・・・」というので、本当に泣いたり笑ったりしながら大掃除をしようと思ったのですが、そんなことをしては家人に何を言われるか分かりません。
サイレントモードで粛々と、
「要る・要らない・とっておく・捨てる・イヤちょっとまて?要る・要る・要る・・・」
と、また元のとおりに収まり、結局並べ替えをしただけで終了でした。

「何かを捨てないと、新しいものがやってこない」これは風水の初歩的な法則です。財運をアップさせるためには「散らかりを整理して空間を作る」
するとその「空間に財が集まってくる」という考え方は、確かに自然の理にかなっています。
要は「もの事が散乱している家には、お金はやってきませんよ~」という自然思想からきているのです。

とすると? わたしの周辺に財は? (T_T)
とまぁ・・・、そんなこんなの年末風景でしたが、片づけものをしているうちに素敵な宝物が出てきました。
まるで1000年の眠りから目覚めたような宝物の正体は手書きのホロスコープたち。そしてデジタル化のために試行錯誤していた時代の、貴重な資料や時を隔てた原稿たちです。
新しい資料を重ねるうちに、開かずの扉になっていた大きな引き出しの奥に静かに眠っていました。
私にとっては、まさにこれぞ「最高の財!」なのです。

夕暮れの淡い光の中で、セピア色の思い出をにじませる資料や本。
舞台は昭和55年(1980年)くらいのことでしょうか・・・。
まだ幼稚園教諭とルネ先生の内弟子と、ふたつのことが同時に進行している時代です。
占い師への道は、まだまだ遙か遠く、見えるか見えないか。
何もかもが混沌としていました。
その中で自分自身の大きな支えになったのは千古不易(せんこふえき;永遠に変化しないこと)の星の輝きでした。
もしあの時、星を見上げて心を励ましていなければ、今の自分はここにいなかったことでしょう。

これは助手をしていた頃の思い出話です。

助手の仕事として出版社に原稿を届けに行きました。
「おいっ! 一枚足りないぞ」 「水瓶座がないっ!」 
編集長に怒鳴られ 「そんなはずは・・・」 でも本当になかったのです。
「来る前にちゃんと確認したのか!」
ルネ先生は台湾に出張でしたから、もうすでに国内にはいません。
迫る締切。 焦る私。 怒鳴る編集長。
と、もうホントに大ピンチ。 ピンチはピンチ! 
という状況で 「ではわたくし、ここで書かせて頂きます」と勢い込み、
「えーーと太陽は吉角。うーーん。 しかし火星は凶角。 でも、木星とは大吉なので、まずはよし。 でもねぇ、海王星の逆行が痛いしぃ・・・ 」 
とかなんとか独り言をいいながら机に向かっていると、
「おい! いつになったらできるんだ。 それにキミ、そんなストーリーの作り方じゃ読者が混乱するだろう! 占い読んでどうしたら良いのか、わからなくなったら洒落にならん! ったく 」
(シー~ン・・・ )

「どうだ。 できたか。 星の話ばかりが人生じゃない。 星の下で生きている人間の話なんだから金星が吉でも人はこうする、ああするで様々なパターンがあるんだ。 そのあたりのところを星の動きだけでバカ正直に書くとつまらん読み物にしかならん! ったく・・・占いは、タイトに当たることよりも、心当たりがある。 くらいの含みと優しさがないと面白みがない。 わかったか!」
編集長のお言葉。

一瞬、叱られていると思ったのは私の傲慢さで、編集長はジッと待ちながら見守って、しかも道しるべをつけてくださっていたのです。
「できました。 お目どうしください」
「お~、忙しいからそこにおいていけ。 ルネさんに連絡とって占いが合っているかどうか、聞いておくんだぞ。 オマエが書いたものなんだから信用がならん。でも指導はオレだと良く言っておけよ 」
「は、はーーかしこまりました」
ようやく先生と連絡がとれた夜半。
「おーーすまん、すまん。 忘れていたかもしれんなぁ。」
とノンビリした先生の声。
「あーーヤレヤレ長い一日だった」
と見上げた空に、ピカリと星のやさしいウインクでした。
「うん! 今日もこんなにイイコトがあった。 だから明日も大丈夫!」

次の日編集長にお詫びと内容確認の連絡をすると
「水瓶座がないとはけしからん。 オレの星座なんだから次回は絶対に置き去りにするんじゃないぞ! わかったか! 」
電話の向こうでニヤリとしている編集長の顔が浮かび、受話器を握りしめながら(まだ黒電話なのでどんな感じか想像してみてね) 誰もいない壁に向かって何回も最敬礼をしていました。

この時代に勉強していた資料や占いへの思いがつづられたノート。
それらが夕暮れの淡い光の中で、そっとほほえんでいた宝物たちです。
そして、
「星のことばかり気をとられて、生きている人間の事を忘れるな」
今でも原稿を書くとき、編集長のお言葉を思い出しています。
人生日々初心。 これが今年の目標です。

   エミール


写真  助手をしていたころの写真を探してみました。