子供の頃、夏休みになると朝早起きをしてラジオ体操に通いました。

その時に流れていたラジオ体操の歌詞、「新しい朝が来た~。希望の朝だ~・・・」で始まり、集まった人たちは元気よく体操をして一日がスタートしたものでした。
最初は「眠い」とか「いやだなぁ」とか思っていたものでしたが、毎日のようにこの曲を聴いているうちに、やがて日が昇る頃になると“新しい朝”が待ちどおしく、うれしかった思い出があります。

「新しい朝」という響きには魅力的なパワーがいっぱい。
「さぁ、スタート!」そんな気持ちになりますよね。
そのくらい「新しい朝」には大きなエネルギーが秘められています。

さて、「新しい朝」のとらえ方には、いろいろあると思います。
年の初めのスタートは言うまでもなく新年ということになりますね。
一年を12に分けて、それぞれに「新しい朝」がスタートすると考えると、一ヶ月の始まりはプチ新年と言ってもいいでしょう。
更に一日、一日についても同様に、太陽が昇ると同時にやって来るプチプチ新年ということもいえそうです。

ところで、一日を単元として考えると、24時間の持ち時間しかありませんから、プチプチ新年が繰り返されても(つまり毎日ということですが)、どこかでマンネリ化して新鮮みがぼんやりしてしまいます。
人はどこかで気持ちを、大きくリセットしておかないと未来を見ることがつらくなってしまう生き物です。

でも、リセットする・・・。

ここでは簡単に「リセット」という言葉を使ってしまいましたが、本当に難しいことですよね。
リセットって何でしょう。
そのひとつには、1年という単元で心を浄化する、気持ちをクリーニングして前向きになる、などが考えられます。

そこで「お正月」の登場です。
1年という区切りに際して、歳神様に来てもらい、浄化を手伝ってもらうのです。
1年間を振り返り、無事に去年と今年の境界線を越える作業があってこそ、リセットの完了です。

ただ、このお正月を迎える日付ですが、占星術的には説得力のある天体の現象を並べることはできません。
太陽のポジションが二至二分である春分や秋分。
夏至や冬至であれば切れが良く合理的ですが、太陽の黄軽度数は279度あたりで大きなイベント性はありません。

では? といえば・・・。
古代ローマでは西暦325年に宗教上の理由から「春分の日」が3月21日に決められました。
その後1582年のグレゴリウス暦を経て、暦は確定されて行きます。
結局1月1日というのは、冬の期間の前半が、いろいろな変更を経ながら長い歴史的経緯で決まったものです。
天文学上の理由があって「1月1日=新年」と決めたものではないのです。
*参考文献 国立天文台HP 「1年の始まり」

いずれにしろ、12月31日に大晦日を迎え、ここで大単元を区切り、新しい章へとバトンタッチ。
さあ、心の電池を交換しましょう、というわけです。
一日のモヤモヤが、一月溜り、二月経ってもリニューアルできないまま、昨年の末に駆け込んでしまったあなたも、ここで気持ちを初期化して、元気あふれるスタートをきってください。

さて、時間には様々な種類があります。
一年を考えてみると2020年という今年の一年間、2019年という去年の一年・・・。
さかのぼり、2018、17、16・・・。
未来に向かっては2021、2022・・・と。
その一年の時間の長さは、どの年をとっても同じものです。
しかし種類が違うので、内容が違ってくるのです。
種類という事をわかりやすく例えると、その年にかかっている絵のようなものでしょうか。

絵を運んできて展示してくれるのは、一年ごとに星座をかえる木星の役割です。
今年の木星は山羊座で輝くので、山羊座的な感性の絵が暗示されています。
ちなみに前の年は射手座でしたから、射手座風のタッチの風景画。
大きなリズム感と躍動に後押しをされ、世界の舞台で活躍する世代がグンと若返り、スポーツ界では飛躍的な数字が更新されつづけたのはまさにその現象といえるでしょう。

今年は山羊座に移動した木星が成長から成熟へのシナリオを綴る役割を果します。
このため荒削りの仕事を、より完成度の高いレベルへとブラッシュアップしていく兆しがあります。

みなさんも、より高い次元の自己実現を目指して、丁寧な生き方を模索してください。
きっと自己達成感が得られるはずです。
太陽は日々「新しい朝」という出現で、あなたを見守っているのですから。


     エミール



2019年9月 鹿児島で迎えた夜明けです。遠くに桜島の噴煙が上がっていました。