月は私たちの生活にとって良き友であり、理解者であり、そして、時には魅惑的な恋人にもなってくれます。
古代の人たちは月の満ち欠けを眺めながら様ざまなことを感じ、歌を詠み、音楽を奏で、詩を作った…。
夜空に月がなかたら、人類はとても味気ない夜の連続だったと思います。
「もし、月がなかったら?」
ちょっと、想像してみてね。なんだか、淋しいでしょう?

というわけで、今回は月をテーマにしたお便りにしてみますね。
一年の中でも秋の空にかかる月は、「中秋の名月」、「十五夜」として日本に暮らしている人にとって特別な存在です。
中秋とは、旧暦八月が(七・八・九月の)ちょうど真ん中にあるため、8月15日の月が年中で最も美しいといわれているのです。
事実、澄み切った秋の空にかかる月には、凛とした清潔感と全てを包み込むかのような温かさを感じますものね。

今年の中秋の名月は9月24日ですから、みなさんも是非お月見をしてみてください。
昔の人に倣って稲穂の代わりにススキや秋の七草(萩・おみなえし・尾花・葛・撫子・藤袴・桔梗)、お団子や里芋・栗をお供えすればもっと本格的です(可愛いポテトのスイーツもアリですよ)。
きっと、月が忘れかけていた何か大切なものを連れてきてくれることでしょう。

でも、この日が雨でお月様が隠れていた場合は?
その時の月の名は「雨月」、雲に隠れてみえない事を「無月」といい、雲の中にも雨の向こうにも浮かんでいる月を愛でるのです。
見えない月をいとおしむ、昔の人の感性は素晴らしいですね。
言葉の美しさでつけ加えるべきものがあるとすれば、十五夜の前日は「まつよい」、翌日の十六夜を「いざよい」と呼びます。
十五夜イブである前夜祭には待つ楽しみがあるので、きっと待つ宵にしたのでしょうね。
十六日月の方は調べてみたところ、ゆっくりと上がってくるので、ぐずぐずするの意味を持つ「いざよう」からきているようです。

ちなみに中秋の名月を眺めたら、旧暦九月十三日の十三夜月も楽しむのが粋だと言われています。
見逃してしまうのは「片見月」、かたみづきと言って野暮ったいそうですよ。
今年の十三夜は十月二十一日ですから、メモに残しておいてくださいね。

秋は、私たちの奥底に眠っている感覚を引き出してくれるスパーナチュラルな季節です。
私は毎年秋になると凄く直感力が強くなる日があります。
それは、やはり前日に月光浴をした時であったり、新月に目には見えないけれど確かに天空にある月の存在を実感した時であるなど、月とインスピレーションの不思議な関係について深く納得してしまいます。

皆さんも自分の中に眠っている第六の感性を磨いてみませんか?
きっと、可能性が大きく広がることと思います。

では、8月の思い出をふり返って今日は、ここまで。
来月までお元気で!


上野不忍池で蓮の花を眺めました。
蓮の実にも注目してみてね。
はるか昔、子供たちはこの実の前に立って歌を歌い(マイクに見立てていたの)、「大きくなったら歌手になる」なんていう夢を持っていた子もいたの。
懐かしい夏の日の思い出です。

   エミール

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