あなたが最初に読んだ文庫本は何でしたか? 私が最初に読んだのは、兄の本棚にあった、『二重太陽系死の呼び声』ニール・R・ジョーンズ(ハヤカワ文庫)というSF小説でした。すさまじいタイトルですが、なぜこれを選んだかと言えば、挿絵にひかれたからです。後で知ったのですが、それはあの藤子・F・不二雄さんが無名時代に描かれたものでした。
個人的なお話から始めさせていただきましたが、 この『二重太陽系死の呼び声』は、子供の私にでもわかるように、「人生の長さが決まっているというのは、どういうことなのか」 について、考えさせてくれました。それも強烈なインパクトで。
長いお話なので、今回はその中のワンシーンをご紹介させていただきます(心理テストにするため、少し変えてあります)。
『二重太陽系死の呼び声』ニール・R・ジョーンズ
これは、こんなお話です(心理テストにするため、少し変えてあります)。
地球人のジェイムスン教授は、いったん亡くなった後で、ゾル人という宇宙人に助けられ、生き返ります。それも、機械の丈夫な身体と、永遠の生命を手に入れて。
ゾル人もみんな不死です。時間がたっぷりあるので、ゾル人たちは、ずっと宇宙を冒険旅行しています。ジェイムスン教授もそれに同行します。
そんなある日、ジェイムスン教授は、仲間のゾル人たちとはぐれて、壊れた宇宙船の中に、たったひとりで残されてしまいます。
そこで永遠の生命を持つジェイムスン教授は、近くの星に原始的な生命が存在することを知って、ただじっと待つことにしたのです。
地球で言えば、単細胞生物から恐竜、ほ乳類、人類というような、おそろしく長い進化の期間をずっと待ち続けるのです。進化していって、知性が発達すれば、いつか宇宙船を作って、宇宙に飛び出すようになり、自分を発見してくれるだろう、と。
これにはビックリしました。
永遠の生命を持っているから、何もあせることはないわけです。一つの星の進化をずっと待つことさえできるのです。
私が衝撃を受けたのは、命の長さが変わると、考え方がまったく変わるんだ、ということです。つまり、あたりまえと思っていた、自分や周囲の人たちの考え方が、じつは100年という寿命のせいで、かなり決まっているということに、初めて気づいたのです。
ではあなたは、人生の長さについてどう思いますか?

A.人生が永遠に続くと、いろんなことに挑戦できる
B.人生に限りがあったほうが、いろんなことに挑戦できる

心が決まったら解説を読んでください。



このテストから学ぶテーマ
「人生の締め切りについて考える」

「今この瞬間を充実させることが大切!」「明日には死ぬと思って、今日を生きろ!」
…というような言葉をよく目にします。まあ、言いたいことはわかります。
でも、ちょっとひねくれた見方をすると、もしこの瞬間だけを生きて、明日は死ぬんだとしたら、誰がイヤな仕事をするでしょう、誰がダイエットをするでしょう、誰が会いたい人に会わずに我慢をするでしょう。
もし人間の寿命が3日なら、みんな、やりたいことをやるでしょう。嫌いな勉強や面倒な仕事なんてしないでしょう。
でも、寿命が10年なら、もう少し慎重になります。先のために、今は我慢して、やりたくないことでもやります。
そして、寿命が100年なら、今の私たちのような生き方になるわけです。これがもし寿命が1万年くらいあれば、たとえば、環境問題や、原発に対する態度もかなり違ったものになるでしょう。100年以上先のことは自分には関係ない、というわけにはいかないのですから。
「もし永遠の生命を持ったら、人の考え方はまるっきり変わる」ということを、子供の私は、『二重太陽系 死の呼び声』に教わりました。「永遠の生命なんか手にしたら、みんなだらだらしたり、退屈したり、もてあまして、苦しむだけだ」 と思う人もいるかもしれません。
でも、そうとは限らないのです。それは100年の寿命の人間の考え方。 もし永遠の生命があれば、いくらだらだらしていても、それはかまわないわけです。「だらだらするのはよくない」という概念自体がないはずです。「時間をもてあますのはよくない」「退屈はよくない」というのも、限られた時間しか持っていない私たちだからこそ、そう感じるのです。
「それでも、死があるからこそ、生は充実するんだ」と考える人もいるでしょう。偉人のそういう名言もたくさんあります。
これは一つには、“死はどうしたってあるもので、ないほうがいいと言ってみても仕方ないので、なんとか受け入れようと「いいものだ」と思い込もうとしている”ということがあるでしょう。
でも、それだけではありません。確かに、「死があるからこそ、生は充実する」ということは、真実でもあるのです。
【締め切り効果】という心理があります。日頃はだらだらしてしまって、なかなか勉強しない人でも、試験の前日となると、さすがにある程度は教科書に取り組むものです。原稿を書く仕事の人には、締め切りの前にならないと、なかなか取りかかれない人も少なくありません。
このように、締め切りが迫ると頑張れることを【締め切り効果】と言います。人間は、ぎりぎりにならないと頑張れない弱さがありますが、逆に言えば、ぎりぎりになると、いつも以上の集中力や能力を発揮できるのです。
人間の寿命を100年としても、実際には、平均寿命はもっと短く、WHOによれば、日本人の平均寿命は、女性が86歳、男性が80歳です。残念ながら、もっと早くに亡くなる方もいます。
国によっても平均寿命はちがって、アフリカには50歳以下の国もたくさんあります。日本でもかつては「人生50年」と言われていました。
ともかく、人生には締め切りがあるということです。しかも、人は歳をとります。夏休みの宿題なら、最後の3日間で頑張ることもできますが、人生の場合は、最後の数年で一生分を頑張ることは困難です。だいたい、いつが終わりなのか、予測がつきません。
いつか締め切りが来るというこの事実は、誰でもわかっていることですが、死がおそろしいせいで、つい目をそらしてしまいがちです。
「人間の寿命は3日でもないし、一万年でもない。だから、80年なら80年の生き方をしなければならない。人生には締め切りがあるんだ」
このことを時々、思い出してみることは、どう生きるかを考える上で、とても有意義だと私は思います。
<賢者の答え>

A人生が永遠に続くと、いろんなことに挑戦できる
と思ったあなたは……
永遠の生命を願う人は意外に少ないものです。人魚の肉を食べたとか、吸血鬼だとか、永遠の生命を手にした人物の出てくる物語でも、その人物はたいてい苦悩しています。
また、「どうせ人は死ぬんだから、永遠の生命を願ってみても仕方ない」という人もいます。秦の始皇帝のように、永遠の生命を求めたせいで、かえって早死にしてしまった人もいます。
しかし、永遠の生命について考えることは、決して無意味なことでも、むなしいことでもありません。永遠と比べてみて始めて、人間の短い一生の価値がわかります。短いからこそ、どう生きなければならないかということが。宇宙に思いをはせることで、地球での生き方を考え直すことがあるように。
ノーベル文学賞もとっているカネッティという思想家は「私は死に対抗する」と言って、実際、89歳まで長生きしました。
生きること自体に価値を見出せているあなたは、あくせくするよりも、ゆったりと自然とふれあったり、好きなことをする時間をなるべくとったほうが、人生の充実を感じることができるでしょう。

B人生に限りがあったほうが、いろんなことに挑戦できる
と思ったあなたは……
まさに【締め切り効果】の考え方です。
「人生は長さではない。いかに充実していたかだ」というのも、この考え方です。人生の長さが限られているからこそ、人は必死に生きようとして、その結果、充実した人生を送ることができる。これはたしかに、ひとつの真実です。
こういう考え方ができるあなたは、人生全体の長さで締め切りを考えるだけでなく、さらに細かく締め切りをもうけていくといいでしょう。マラソンをするときは、まずはあそこの電柱まで、次は向こうの角までなどと、細かく目標を定めて走ると、うまく走れると言います。人生も同じことです。
締め切りが迫るほど【締め切り効果】も発揮されるわけで、細かく何度も締め切りをもうければ、それだけいつも頑張ることができます。 人がお正月を祝って、一年に区切りをつけるのも、ひとつの【締め切り効果】ということかもしれません。

また、ここでAとB、どちらを選んだ人にも、次のような考え方があるということをお話しましょう。
それは“何かを残すということは、不死を手に入れることにきわめて近い”と言うことです。
だから人は、子供を作ろうとします。有名になって歴史に名を刻もうとします。ずっと残る仕事をしたいと願います。権力者は建造物を残したがります。
そして、不死を手に入れることは不可能でも、何かを残すことなら可能です。さらに、何かを残そうと努力することは、けっきょく人生を充実させることにもなります。
こうした気持ちは、じつは有名になるというような大がかりなことでなくても、充分に満たされるのです。
たとえば、森の中に1本を木を植えるというようなことでも。すでに森にはたくさんの木があります。そこに1本増えても、ほとんど何も変わりはありません。でも、あの森の中に、自分が植えた木があって、育っている、という思いは、人の心をとても満たします。
自分が植えなければその木は存在しなかったということが、人の心を支えます。
ささやかな何を残すことを目指してみてください。それだけでずいぶん人生は輝きを増すはずです。


津田先生より「『二重太陽系死の呼び声』は、今はもう絶版で、古本でしか手に入りません。藤子・F・不二雄さんの挿絵もすごくいいですし、もし見つけられたときには、ぜひ手に取ってみてください。もっとも、藤子・F・不二雄さんの挿絵のためか、プレミアがついて、アマゾンのマーケットプレイスでは、10,900円なんて値段もついています。

スタッフはこの解説を読んで「確かに、永遠に終わらない夏休みがあったら、いつまでたっても自由研究には取り組まないかもなあ…」と思ってしまいました(^^;
それに、たいがい夏休みの最終日に「もっと早くからいろいろやっておけば良かった!」って焦っていた学生時代。
終わりが来るのはいつのまにか、そして、あっという間なのかもしれません。思っているだけでやらないことが多い私ですが、何か自分の足跡を残すことができているように、まずは行動していきたいと思いました。

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