フルーツには、ビタミンやミネラルがたっぷり含まれ、食物繊維が便秘解消をしてくれるなど、美容と健康に嬉しい効果があります。
日本は南北に長いため、寒い地方で採れるりんごから南国で採れるバナナやパイナップルまで、世界のどの国よりも多種類の果物がそろう、恵まれた国です。輸送に時間がかからない新鮮な国産フルーツをもっと食べましょう(目安は一日200グラム)!
まだ解明されていないミラクルな栄養分もあるとされる魔法の食べ物が果物なのです。

国内の果物生産地は意外と知られていません。今回載せたのはスペースの関係もあり、ほんの一握りですが、それでもこんなにたくさんの種類の果物が採れるのです!
今はインターネットで産地直送フルーツも簡単に取り寄せることができます。沖縄のパイナップル、青森のさくらんぼ、福島の桃、山形のラ・フランス、宮崎の日向夏みかん、和歌山の青梅など、私自身が今までに取り寄せた数々は、どれも本当に美味しかった! ちょっとした贅沢気分を味わえます。

昔から「朝の果物は金、昼は銀、夜は銅」といわれ、朝に食べると体に良いとされています。これについて女子栄養大学のサイトでは、その理由を「(中略)エネルギー源となるとともに、ビタミンC、クエン酸などを摂取することができる事から生まれた言葉と考えられます」と述べています。

寝起きのだるい体には、果物の甘さがエネルギー源となって体を目覚めさせてくれます。豊富な食物繊維が腸を刺激し、胃も動き出して食欲を増進させてくれるのです。ドライフルーツは生のフルーツよりもビタミンCが少なく、糖度が高くなるので、ぜひ生のフルーツを食べましょう。食欲が出てきたら果物にプラスして、たんぱく質や炭水化物も朝から摂ると理想的です!

夜は「銅」になるワケ
逆に夜に果物を食べると体が冷えますし、夜間はエネルギー消費量が減るため糖度の高いフルーツは太る原因に。ご注意を!

日本のフルーツの中で一番ポピュラーな「みかん」。みかんに代表される柑橘類には、ビタミンCが含まれ、血管や皮膚を丈夫にしてくれます。目に効くビタミンA、疲れにくく冷え性を予防するビタミンEのほか、カリウム、カルシウム、そして整腸作用のあるペクチンが含まれています。

日本で流通している約80%は「温州(うんしゅう)みかん」と呼ばれる種類ですが、最近の研究により、この温州みかんの黄色の色素「β(ベータ)クリプトキサンチン」に強い発ガン抑制作用があることがわかりました。同じくガン抑制物質として有名な「ベータ・カロテン」より5倍も高い効力があるのだそうです! JA熊本果実連では「毎日みかんを1~2個食べるだけで、ガン予防の効果が期待される」と紹介しています。秋から冬にかけて、店頭に並ぶみかんを毎日食べたいものです。

みかんは、皮もすごい!
みかんの皮を日干した漢方薬は「陳皮(ちんぴ)」と呼ばれ、咳止め、健胃の薬として昔から親しまれています。果肉を食べた後、みかんの皮をよく洗って刻み、ヨーグルトに蜂蜜と一緒に入れて食べると健康効果大です!
さらに、夏みかん、はっさく、ゆず(カボスやすだちも)の皮にも含まれる「オーラプテン」(香り成分)にも発ガン抑制効果があると発表されました。夏みかんやゆずのマーマレードはパンにつけて、カボスやすだちの皮はすりおろして、揚げものやお吸いものに入れるといいですね。良い香りが食欲を促進させます。

風邪には金柑
金柑は果物の中でビタミンC含有量が一番多いのです! 昔から風邪には金柑が良いと伝わっています。また、ビタミンCは摂取することでコラーゲンを生成して美肌のもとになります。金柑を丸ごとハチミツ漬けにして、おやつ代わりの美容食にしましょう。
日本でたくさん収穫される柑橘類は、美容によく、薬にもなる優れたフルーツ。いつも家にストックして食べてください。

苺を5粒食べるだけでビタミンCの一日の必要量を満たすとされ、ペクチンも多いため便秘に効果があります。赤い色が可愛らしく、ササッと洗ってすぐにつまめる手軽なフルーツです。
また、柿はビタミンCがみかんの2倍と豊富、さらにビタミンB1、B2も入っています。レトルトが中心の食生活になると、ビタミンB1、B2が不足しがちです。これらが欠乏すれば、たんぱく質や脂質を分解してエネルギーに変える酵素の力が弱まり、疲れやすくなってしまうので要注意! 柿の渋みの成分タンニンはアルコールを分解する働きを持つので、飲酒前に柿を食べると二日酔いの予防になります。

初夏から出回るびわは、ビタミンAもCも含み、皮膚の保護や抗酸化力に優れています。汗疹(あせも)や湿疹には、乾燥した「びわの葉」を袋に入れ、浴槽に浸しながら水から沸かした湯につかると症状が和らぐそうです。びわは果汁も多くて食べやすく、種が大きいためつい食べすぎてしまいそうですが、胃にも良いフルーツです。

夏のフルーツの代名詞 すいかは、94%が水分。食べると利尿作用があり、むくみが解消します。甘いジュースよりも、すいかを食べて水分を取るのがダイエットにもなる賢い方法です。
もうひとつの夏の果物、桃は、ねっとりとした甘みと漂う華やかな香りに「一番好きなフルーツ」に挙げる人が多く、8~9月が最盛期。ビタミンCは少ないですが、塩分を体内から排出するカリウムや、腸の老廃物を排出してくれる食物繊維が豊富です。さらに「邪気を払う果物」としても有名。桃を食べて、邪気も一緒に排出しちゃいましょう。

すもも は鉄分が多いため貧血気味の女性におすすめです。旬の夏には生でかじり、果汁と食感を楽しんでください。そのほかの季節はドライプルーンを選べば一年中楽しめます。
さくらんぼ にはビタミンCやカリウム、葉酸のほかに、疲労回復に役立つリンゴ酸、クエン酸が含まれています。また、梨はクエン酸が入っている上に低カロリーなのでダイエット中の人も安心です。
マスカット、巨峰、デラウェアなど、夏から秋にかけて旬のぶどうは、果糖、ブドウ糖が多く、エネルギー補給にぴったり。ジョギングや激しい運動の前に食べるといいでしょう。皮に含まれるアントシアニンは、視力回復や肝機能の働きを促します。

お家にある超定番の果物・りんごとバナナを使い、ミックスジュースをつくりましょう。りんごは高血圧の予防になるカリウムが多く、バナナは食物繊維やオリゴ糖が豊富です。


<材料 二人分>
りんご・・・・・1個
バナナ・・・・・1本
すだちかレモンの絞り汁・・・・少々
水・・・・・・・150cc
<つくり方>
①水を入れ、りんごとバナナは皮をむいて、適当な大きさに切りミキサーへ入れ、上からすだちかレモンの絞り汁を入れる。

②ジュース状になったらできあがり。お好みでハチミツを入れても美味しい。生ジュースは保存が利かないため、すぐに飲むこと。


昔はどの家でも漬けていた梅酒。最近、若い人の間で手づくりの伝統食品が流行っていますが、梅酒づくりも静かなるブーム再来です。うちでも今年漬けてみました! 梅の良さは、なんといってもクエン酸! クエン酸が疲労物質の乳酸を分解して、疲労を回復してくれるのです。殺菌効果も有名です。子供たちは漬けた梅を、大人は梅酒をと、家族そろって味わえますし、ビギナーでも失敗がなくつくれます。
<材料 容器2リットル分>
青梅・・・・・・・1キロ(青梅は6月ごろに出回ります)
氷砂糖・・・・・・300~600グラム
ホワイトリカー・・・1.2リットル
<つくり方>
①梅を洗い、タップリの水に一晩つけておく
②ひとつひとつをやわらかい布で拭きながら、ヘタをとる。ヘタをとるのが美味しい梅酒をつくるコツ。竹串などを使うと取りやすい。
③密閉できる保存びんに青梅、氷砂糖を交互に入れていき、上からホワイトリカーをそそぐ。保存びんは梅酒用を売っているので、お店で聞くと良い。
④冷暗所に置く。ときどきビンをゆすって味をなじませる。漬けた3ヶ月後ぐらいから飲むことが可能。漬ける期間が長ければ長いほど、まろやかさが増す。10年ものもあるくらい。


ポストは「~の後で」、ハーベストは「収穫」という意味です。農作物の収穫後に使われる農薬のことを「ポストハーベスト」と表現しています。

野菜や果物を育てる時に農薬を使うのは一般的ですが、なぜ収穫後も必要なのでしょうか?
それは、日本は海外からの輸入農作物がとても多い国だからです。
海外から輸入するには、長期保管や輸送中のカビや腐敗を防がなくてはなりません。さらに「日本にいない害虫や植物の病気も防ぐため」と、農林水産省は説明しています。
ポストハーベストには基準値があり、検疫所や保健所が殺虫成分を検査して基準値を超えた場合は、回収や廃棄、輸出した国に戻すといった処置をとっているそうです。

具体的には、輸入穀物や輸入野菜、輸入果物(小麦、大豆、米、トウモロコシ、オレンジ、レモン、バナナ、さくらんぼなど)に適用されています。
収穫後の農薬使用は、育てている時に比べて、農作物に残留する率が高くなるといわれています。

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そして、日本では、ポストハーベストは使用禁止です。
国産の野菜や果物は、輸送に時間がかからず新鮮で、ポストハーベストもない!
国産フルーツ(や、国産野菜や穀物)を勧める理由はそれです。狭い国土のために大量に生産できず、国産農作物はどうしても値段が高くなります。しかし、

生ものは新鮮さが命です!! 新鮮さは美容効果にもそのままつながります。
フレッシュな国産フルーツ(そして、国産農作物)、ぜひみんなで食べましょう。

<参考文献&ホームページ>
『くだもの栄養学』川島四郎(新潮文庫)
『食べるくすりの事典』鈴木昶(東京堂出版)
『かしこく選ぶ・美味しく食べる野菜まるごと事典』猪股慶子(成美堂出版)
女子栄養大学レシピサイトhttp://www.eiyo.ac.jp/recipe/sp/nutrition/view/id:4.html
JA熊本果実連ホームページ http://3kj.jp/mikan.htm
農林水産省ホームページ http://www.maff.go.jp/j/fs/f_nouyaku/008.html

写真:くにろく