5月1日の「メイ-デイ」は豊穣を願う光のお祭り

祝日に挟まれた5月1日は、労働者の日「メーデー」として企業によってはお休みになるところもあるようです。
でも本来は、ヨーロッパで五月祭と呼ばれる特別な日でした。

紀元前、中央ヨーロッパを中心に広まったケルト文化では、一年を人の住む光の季節(夏)と死者や魔物の住む闇の季節(冬)に大別していました。
ハロウィンが闇の季節を迎える再生の始まりのお祭りとされ、ベルティネ祭とも呼ばれる五月祭は、さまざまに咲き誇る春の花々に彩られた豊穣を願う光のお祭りとされていたのです。

また、祭り前夜の4月30日は「ワルプルギスナイト」と呼ばれる特別な日であり、古代ローマの頃から5月1日は先祖に捧げられた日として、異界の存在が人間界に侵入してくるときでもありました。

ハロウィンのときにも、異界と人間界の境界があいまいになり、さまざま魔物やご先祖様が人間界に侵入してくるといわれます。
子供や最近はおとなまでも、魔女やゾンビ(ご先祖様)の仮装をするのは、このことを表しています。

さて、4月30日の夜、山の頂などで魔女や魔物がサバトと呼ばれる悪魔の祭りを開き、闇の季節を長続きさせようとします。
そこで人々は、暖炉に灯した聖なる火を松明に移し魔物の集会の場を焼き払い、闇を追い払って、朝、日の出ともに光の季節を迎えた、と言い伝えられています。

このワルプルギスナイトのお祭りは、長く冷たい冬を追い出して暖かい春の到来と自然界の命の復活を祝う儀式として、今でもヨーロッパの各地に残っています。
人々が手に手に松明を持って広場に集まり、冬の魔女に模せられた藁人形に火をつけて焼き払うのです。
そして一夜明けた5月1日に、息を吹き返した自然界の命に感謝を捧げ、これから忙しくなる農作業が実を結ぶよう、豊穣と繁栄を光の女神フレアや五月の女神マヤなどの神々に祈りを捧げるのです。

また5月1日は、光の女神フレアと、生と死を司る最高神オーディンが結婚式を挙げて光と闇が一体になるとされ、自然界でも鳥や動物たちがこの日、つがいの相手を定めるとされていました。
ですから、昔は人々もこの伝説にあやかって、お祭りの日に村をあげて合同結婚式を行っていたのだとか。
ヨーロッパの山里などでは、今でも森から若木や枝をとってきて、この日に意中の人の家の前に「五月柱」を立てる風習が残っています。
フランスのスズラン(ミュゲ)摘みの風習もこの名残りだといわれているのです。

闇が光に追い払われた朝、親しい人たちと外出して、春から初夏へ日に日に強くなる日差しと、濃くなる緑を楽しみつつ豊かな実りを願いましょう。
そして、若葉のついた枝やスズランの花などを贈り合うと、豊穣の女神様たちが実りある未来をもたらしてくれるはずですよ。

みなさまの幸せを祈っています。
チャオチャオ! マークでした……。