生まれ変わるチャンス!!

暦では1月15日から七十二候の小寒末候「雉始雊(きじはじめてなく)」。そして、いよいよ一年で一番寒い大寒を迎えます。
15日は小正月ともいわれ、地方によっては様々な祭事が行われる時期です。
秋田県男鹿半島のナマハゲが有名ですね。
古くは「ナマハギ」と呼ばれていたナマハゲは、家々を訪れては「ナモミ(火にあたり過ぎてできる皮膚のシミ)をはいで、小豆と一緒に煮て食うぞ」と鎌を振り上げて脅かしたといいます。寒さにかまけて家から出ずにいる怠け者を叱るのです。

じつはこのナマハゲ、東南アジア、さらに南太平洋の島々などオセアニアに伝わる神話につながるといいます。それは、人が脱皮をして新たな命を得るというもの。
例えば中国南部の神話によれば、もともと人間は死なず、歳を取ると脱皮をして少年に戻れたそうです。ところが脱皮があまりに痛いので、ある人が「脱皮をせずに死んだ方がいい」と泣き言をいったところ、その人は死んでしまい、以後人間は脱皮せずに死んでしまうようになったと伝えられます。
栃木県の「ムゲツイタチ」という言い伝えでは、六月朔日に水につかりながらある姿勢をとると、人間の皮が木に引っ掛かっているのが見えるそうです。
また、沖縄や奄美では新生児の命名のときに、頭に蟹をはわせる習俗があったそうです。
蟹の脱皮は、若返りの霊力のたまものと考えたのでしょう。
日本神話でも、トヨタマビメがウガヤフキアヘズノミコトを海辺の産屋で生んだとき、箒で蟹を掃くという記述があるそうです。

新年気分も一段落する小正月、お風呂に入ったら垢スリをするように身体をよく洗ってみてはいかがでしょう? 普段とらわれがちな思いを脱皮することができるかもしれません。

※参考文献
『日本の歳時伝承』小川直之:著 アーツアンドクラフツ
『年中行事読本―日本の四季を愉しむ歳時ごよみ』岡田芳朗・松井吉昭:著 創元社
『正月の来た道―日本と中国の新春行事』大林太良:著 小学館