純粋な感謝の気持ちを花に託して

赤、白、ピンク、イエロー、サーモンピンク、さらに寒色系のペパーミントグリーン、パープルやブルーなどなど。最近、カーネーションの花の色は無限にあるのではないかと思うほど、多彩な色が花屋さんを飾っていますよね。母の日を象徴する赤いカーネーションが新鮮に思えるほどです。

この花は「母親への愛情と感謝」そのものです。
カーネーションのミューズ、アンナ・ジャービスとその母親の物語がそのことを伝えています。

南北戦争(米国の内戦:1861~65年)のあと、アンナの母親は「母の友情の日」というイベントを開催し、南北に分かれて戦った人々を結びつける平和活動をしていました。その日は教会で、白いカーネーションを配ったと伝えられています。
母親の死後、活動を引き継いだアンナの働きかけによって、母の日が広まっていきました。

最初の母の日は1908年5月10日。
アンナは、「その日は家に帰って、母がしてくれたことに感謝する」ことを大事にしていました。
ところが、米国全土に「母の日」が広まると、花やお菓子、カードを買って贈ることが目的となっていきました。
商業化されたことに怒ったアンナは「母の日」改革運動を始め、晩年まで続けました。
アンナにとって、「母の日」は自分の母親と家族のための小さなお祝いの日。お金儲けに利用されることが許せませんでした。
「お母さん、ありがとう」。その純粋な思いをアンナは取り戻したかったのです。

アンナの運動は失敗に終わり、今や遠い日本でも、母の日を祝っていますね。
家族で過ごす喜び、誠実な愛を象徴するカーネーション。
花を買って贈ることは純粋な感謝の気持ち。
アンナの思いは受け継がれていると思いますが、いかがでしょうか。

<5月に生まれた人へのメッセージ>
あなたはカーネーションのように誠実な人。かつて西欧で「天上の香りをもつ花」といわれたように、人々を包み込む優しさを秘めています。一方で、信念をもって行動を起こす勇気をもつあなた。一度決めたことは誰がなんと言おうと成し遂げようとします。花の女神アンナから学ぶとしたら、時代の波を見極めて、ときには方向転換する賢さをもつことですね。

●この花のミューズ(女神):アンナ・ジャービス(1864-1948)
「母の日」の創設者。米国ウェストバージニア州グラフトン生まれ。日曜学校の教師をしていた亡き母をしのび、母の日を祝ったのが始まり。母の日がポピュラーになると、母の日改革運動を起こした。現在もある「アメリカ兵士の母の会American War Mothers」が当時カーネーションを販売した際にも、その場所に押しかけて逮捕されてしまうが、晩年まで母の日の商業化に抗議し続けた。

○杉原先生の著作
『神話と伝説にみる 花のシンボル事典』 説話社刊
定価:3,024円(税込)A5判・並製・284頁 ISBN:9784906828357
http://www.setsuwa.co.jp/publishingDetail.php?pKey=177
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○杉原先生の携帯サイト(フィーチャーフォン)
ケルトの森 木精占術
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番組名:エフエムふくやま・本の情報番組「ブック・アンソロジー」<もっと素敵にマイライフ>のコーナーにて。
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