樹齢約400年、水の気がしたたり落ちてくる、鬱蒼と茂る森に立つ神宿るカツラの木

樹齢数百年という大きな木が立つ森に入ると、不思議な音を耳にすることがあります。そのとき聴こえてきたのはチョロチョロ、サワサワサワ......。水が流れる音かしら。小川のせせらぎでもなく雨のしずくの音でもありません、その音色の正体は?

水の神様が宿るカツラの木。

今まで出会ったカツラの中で、いちばんカツラらしい。それでいて、木という生命に姿をかえて立つ、神のような、精霊のような、清らかな水の気に満ち満ちた巨樹でした。
「大滝のカツラ」。樹齢は約400年。

鬱蒼と茂る森を背景に、水の気、緑の気が充満した巨樹はどっしりと、神秘的な姿を見せて立っていました。
無数のヒコバエが集まり、細い幹と幹とがしっかり癒着しているため、一本の太い幹のように見えます。“大滝”というのは近くにある滝の名前なのですが、滝のように水の気がしたたっているようにも見える大きな木。写真に撮ると、緑色の水膜がかかっているようになりました。木の前ではそれほど靄(もや)がかかっているようには見えなかったのですが、プリントすると、水の気でベールをかぶったように映ったのです。写真をお見せできないのが残念です。
木のちょうど裏手に坂道があり、カツラをぐるりと一周眺めることができます。どこから見ても、水の気がこの巨樹の周辺一帯をおおっていました。
梅雨の晴れ間の暑い日でしたが、木を前にしていた間、絶えまなく、清々しいひんやりとした風が吹いていました。水の神様はたしかにここに、わたしのそばにいました。

【この木に会いに行こう!】
国道48号線沿いの大滝ドライブイン「泉や」から下流にある橋を渡るとまもなく。名瀑「大滝」近く。

○杉原先生の著作

『偉人の花ことば』
定価:1,540円(税込)四六判・並製・240頁 ISBN:9784906828814
⇒ゴッホのヒマワリ、シャネルのツバキ、宇野千代のサクラ……。心をうるおし、背中を押してくれ、愛や感謝、励ましを伝えてくれる言葉たち。偉人たちが花に託した思いとは?
https://www.setsuwa.co.jp/publishingDetail.php?pKey=253


『神話と伝説にみる 花のシンボル事典』
定価:3,080円(税込)A5判・並製・284頁 ISBN:9784906828357
⇒聖樹研究家の杉原梨江子先生が約220種の花の名前の歴史、物語、言い伝え、「シンボル」となるキーワードを丹念に集めました。植物学とは異なる、花の文化誌です。
https://www.setsuwa.co.jp/publishingDetail.php?pKey=67


○杉原先生がラジオ出演!
月に1度、『花のシンボル事典』から季節の花を紹介しています。
毎月・第3火曜日の19時25分から。
番組名:エフエムふくやま・本の情報番組「ブック・アンソロジー」<もっと素敵にマイライフ>のコーナーにて。
「YouTube(動画ラジオ)」でも聞けます。
『神話と伝説にみる 花のシンボル事典』『偉人の花ことば』から季節の花をひとつご紹介。2022年4月「ワスレナグサ」
https://www.youtube.com/watch?v=pB4-x6wLsHw