古代オリンピック、勝者の冠はオリーブの葉。銀緑色がまぶしい異国の木がお寺に立っています

古代ギリシャ、最初のオリンピックでは優勝した人にはオリーブの葉で作られた冠が捧げられました。
昔々、「オリーブの葉、1枚1枚に聖なる言葉が描かれている」と信じられたのは、ヘブライ(古代イスラエル)の樹木神話です。ノアの箱舟伝説では大洪水の後、海に放った鳩がオリーブの小枝をくちばしにくわえて戻ったことから、再生の象徴になりました。
銀緑色の葉を見ると心が澄んでいくよう・・・。遠い国々の聖なる木であったオリーブが今、日本のお寺ですくすくと育っています。

【木の特徴】
日本のお寺でオリーブの木と出会えるなんて、不思議な気がします。
松や紅葉など日本ならではの吉祥の木々にまじって、オリーブの木がそびえています。
すがすがしい葉色が空の色と溶け合って、独特の美しさ。葉の表は濃い緑色、裏はシルバーに近い淡い緑色。風になびくたびに太陽の光に反射して、キラキラと輝いています。
きれいに掃き清められた庭はしんとして、のんびり見上げていると、心も体も浄化されていくのを感じます。このオリーブの立つ場所だけ、異国に迷い込んだような幻想的な空間。日本と世界との架け橋となってほしいと願うオリーブです。

★この木を見るポイント⇒銀緑色の葉の美しさ。

【歴史を伝える】
善明寺は天台宗のお寺。国内最大という鉄製の阿弥如来坐像「金仏(かなぶつ)さま」(国指定重要文化財)が有名です。野口雨情が作詞した『府中小唄』に、「♪恋のかけ橋 金仏さまもヨ」と登場します。この一節は鎌倉初期の武将、源頼朝に仕えた畠山重忠(1164-1205)と遊女との悲恋物語をモデルにしたといわれています。

【オリーブの教え】
シンボルは「平和と再生」。真の勝利は、平和な心を保つ人のところに訪れる、と木は教えています。

【この木に会いに行こう!】
JR南武線「府中本町」駅から徒歩約2分

○杉原先生の著作
『神話と伝説にみる 花のシンボル事典』
定価:3,080円(税込)A5判・並製・284頁 ISBN:9784906828357
⇒聖樹研究家の杉原梨江子先生が約220種の花の名前の歴史、物語、言い伝え、「シンボル」となるキーワードを丹念に集めました。植物学とは異なる、花の文化誌です。
http://www.setsuwa.co.jp/publishingDetail.php?pKey=177


○杉原先生がラジオ出演!
月に1度、『花のシンボル事典』から季節の花を紹介しています。
毎月・第3火曜日の19時25分から。
番組名:エフエムふくやま・本の情報番組「ブック・アンソロジー」<もっと素敵にマイライフ>のコーナーにて。
「YouTube(動画ラジオ)」でも聞けます。
『神話と伝説にみる 花のシンボル事典』より シャクヤク
https://www.youtube.com/watch?v=pW1aZmUowaI