地震除け、水難除けの呪文とは……

二十四節気だともう「白露」。
「仲秋の候、皆様いかがお過ごしですか?」……。
とはいえ暑さがぶり返したりしていますから、まだまだ「残暑お見舞い申し上げます」のほうが似合いそうです。

先日の9月1日は、今から96年前の大正12(1923)年に起きた、関東大震災を記念して作られた防災の日でした。

地震といえば、東日本大震災後も九州の熊本県や大分県を大地震が何度も襲いましたし、本当に油断禁物です。
また、台風も9月以降これからも立て続けに日本に接近・上陸しそうな気配。ちなみに昨年の二百十日頃にあたる9月初旬は、台風21号が関西地方を横断し、関西空港が浸水したのは記憶新しいところです。

私たちの住む日本は、いくつものプレートと呼ばれる地殻の境界線が重なるところで、そのため火山が多く、地震や火山災害が多発する場所です。
そして気象の上でも日本列島はその上空を偏西風が通過するため、台風の通り道となっているのです。

そのおかげで日本には四季があり、山や温泉があって風光明媚なのですが、昔からたくさんの自然災害に襲われて、祖先たちはいろいろな苦労をしながらさまざまな知恵やアイデアを凝らして、自然の力とうまく共存共栄してきたのです。

たとえば蜘蛛が高いところに巣を張れば大水が出るとか……。カマキリの卵が高い位置に産み付けられているときは大雪が降るとか……。
昔の人は観天望気といわれる、その土地それぞれに伝わる災害や気象現象を暗示するサインを読み解いて、今に伝えているのです。

だから地震が来たら高台へ逃げろじゃないけれど、昔から伝わる言い伝えは大切に守って、これからも子供たちにその言い伝えを受け継いでいってもらいたいものです。
そんな言い伝えとともに、こんなおまじないも昔から伝えられてきました。

例えば大きな地震が起こったときは、心の中で「萬歳楽(まんぜいらく)、萬歳楽……」と繰り返し呪文を唱えましょう。
「萬歳楽」とは宮城県白石市にある山の名前で、弘法大師によって天変地異を治める霊山として開かれた場所。この山の名前を唱えることで、地震が無事に収まるといわれます。

同じように地名を唱える呪文には、落雷避けの「桑原(くわばら)、桑原……」というものがあります。
昔、菅原道真が大宰府に流されたとき、その怨念で京都に落雷が相次ぎました。そのとき唱えられたのがこの呪文。「桑原」は道真が治めていた領地だったので、ここはその領地だから雷を落とさないでくださいと祈ったのです。

また台風や集中豪雨などで水害に遭わないようにするには、掌に指で「龍」の文字を書いて、その手を握って胸に押し当て、「センジョ、シシオウ、ボロン、ボロン、ウン」という呪文を唱えます。これは山で修行する修験者が大雨に遭ったとき、水難に遭わないようにと、雨を司る龍神様に祈った呪文です。

今年の9月1日は「二百十日(にひゃくとおか)」、11日は「二百二十日(にひゃくはつか)」という雑節です。立春から数えておよそ210日目から220日目なのですが、この時期は昔から台風や自然災害の起きやすいところから、特別な日として暦に取り入れられたのでしょう。
この雑節を覚えているだけでも少しは防災意識が高まって、不測の事態に備えることができるかもしれませんね。

みなさまの住む街ではお変わりのないことを、心よりお祈りいたします。
チャオチャオ! マークでした。