菖蒲湯に入って無病息災

今年は「端午の節句」の5月5日までが春の最後の節気、穀雨です。
七十二候の穀雨末候にあてられた言葉は「牡丹華(ぼたんはなさく)」。
その牡丹も、もう崩れてしまったところが多いようです。

そして、5月6日にいよいよ暦の上での夏、立夏を迎えます。
立夏初候にあてられた言葉は「かわずはじめてなく」です。都内ではなかなか耳にすることがなくなりましたが……。

ところで、端午の節句の日に入るのが菖蒲湯。
子供の頃、この季節になると玄関先の軒下に、菖蒲の葉と蓬(ヨモギ)の若葉が束ねられて吊るしてありました。
母が細長い菖蒲の葉と蓬の若葉を麻紐で束ねて、根本を上にして吊るすのです。
私は蓬と菖蒲の独特な青臭い匂いがどうしても苦手で、なぜあんな嫌な匂いのするものを玄関先に飾るのか、と聞いたものです。
すると母は、あの匂いで邪気を追い払い、病魔などの悪いものが家に入ってくるのを防ぐのだと教えてくれました。

5月5日の晩になると、吊るしてあった菖蒲と蓬の若葉の束を風呂に入れて沸かし、菖蒲湯にします。お湯に入れると青臭い匂いはいっそう強くなりました。
私は本当に嫌だったのですが、この匂いが邪気を祓うというので、我慢して入ったものでした。

端午の節句の5月5日は、占いの気学では陽の数が重なる日とされ、老陽という強い気になるとされました。
この強い気にあやかり、病魔などを祓い身体に陰気が宿らないようにしようというのです。
3月3日のひな祭りや7月7日の七夕、そして重陽の節句と呼ばれる9月9日も同じ陽の数が重なる日です。
私たちは一年を日々健やかに暮らしていくための節目として、陽の数が重なる日に、さまざまな厄払いの行事を行ってきたのです。

冬至の日にはゆず湯に入り、いよいよ本番となる寒さに備えて健康長寿を願いますが、立夏の頃にも、梅雨と夏の暑さに備えて菖蒲湯に入り無病息災を願うのです。

また、春から初夏に食べさせられた山菜や草団子なども、子供には苦くて青臭く、おいしいとは思えませんでした。でも、良薬は口に苦し。
例えば蓬は古くから艾葉(がいよう)という薬草として用いられ、血をサラサラにし、新陳代謝を促進するといわれています。菖蒲にも鎮静・鎮痛作用や血圧を下げる効果があり、根の部分は漢方薬として用いられるそうです。

これらを身体の内に取り込み、あるいは湯に入れてその香気を吸うことで、冬の間、身体の内に溜め込んだ邪気を追い払うのです。
季節の節目のおまじないなのですが、じつは理由もあってのことなのです。

立夏を過ぎれば、日増しに気温が上がり、湿度も増して夏バテしそうになりますよね。
気象庁の季節予報によれば、今年の夏は例年より高温になる確率が高いようです。
猛暑を乗り切るために、夏の始まりの立夏から、まずは伝統的健康法で備えてはいかがでしょうか?
みなさまの健康と幸せを心よりお祈りいたします。

チャオチャオ!
マークでした。

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