60日くらい前のことを思い出してみると、まだ暑さの最中にいて珍しく食欲が落ちアイスクリームばかり食べていましたっけ・・・。
でもこの頃は温かいココアでホッコリとしたティータイムを過ごしています。
近くにスィーツのお店ができたので、この季節ならではの美味しいお菓子を探してみるのが楽しみです。

9月のお便りでは
「暑くて仕事が進みません。秋がきて涼しくなると、はかどると思うのですが」
と言ってのけておりましたが、秋になればなったでグルメや芸術、お散歩やら本当に楽しいことばかり。
寒くなる前に、たくさん遊んでおかないといけないわよネ。
本格的に仕事の体制ができるのは、やはりもう少し寒くなってからかなぁ。
とまた別の理由をみつけてはサボり気味。
はるかかなたの昔、高校受験を控えていた時代もこの調子でとうとう冬になってしまい、それでも「寒くて勉強がすすまない」と両親を焦らせておりました。
(+_+) 深く反省。

今このお便りを読んでくださっているあなたが、よもや?
私と同じような感性の持ち主でないことを祈りつつ、9月のできごとを、お話します。

9月はほぼ、亡羊たる海原でいつ釣れるのか見当もつかない魚を相手に過ごすような期間で、殆ど動きのない月でした。
ただ不思議なことに、ぼんやりとした時間が流れている時には右脳が活性化して、思ってもみない閃きや直観力のシャープさが光るものです。

たとえばある日の朝。
“今日は△△の友人から久しぶりに連絡がありそうだ”と思うと、一時間もしないうちに△△から。
「どうしてる? 来週上京するので時間ある?」と連絡があり、なんやかんやと話しているうちに
「ところでエミールの誕生日ってベートーベンと同じなんでしょう?
それって性格が似てるってこと?
でもさぁ、ベートベンって凄く完璧主義なんでしょう?
あっそれとね、ベートーベンって身内の面倒見で苦労したんだよ。
それなのに、あんなに素晴らしい曲を次々と世の中に出しているし。
ますます、どこか違うよね」
?? ってことはもしかして占いが当たってないってこと?
だって、誕生日が同じよね、と全然脈絡もなく突然ベートベンの話に飛び、バシバシ厳しいことを言う。

「時代も国籍も性別も違うでしょ! 環境の違いで射手座の才能の花の咲き方が違うのっ!」
音楽史によるとベートーベンは1770年12月17日前後の誕生ということですが、まず電話の一件はここまでとして・・・。
ランチタイムにテレビをザッピングしていると今年はベートベンの生誕250年だという事を何気なく耳にしたものの、そのまま忘れていた・・・そして。

夜、直観が働き再びベートベンが登場した時には、もはや本日の宿命的なできごと。
運命の人に会うような気持ちになって「ベートベン特集」を観た。
疾風のような曲の流れが突然凪に変わり、激情と内省。
光と影の表情をみせながら激しく魂をゆさぶりながらの終焉。
なんだか、ふと肩のあたりの力が抜け、やや物悲しい気持ちにすらなってしまう。

そこで改めて考えてみると、ベートーベンは時代の大転換がひきおこした「フランス革命」を体験した人であり、革命(1789年)の申し子。
ナポレオンの動乱を身を以て体験した音楽家。
曲から感じる、果敢に運命へと立ち向かっていく激しさと情熱は、ウィーンの貴族社会爛熟の中で生まれた曲とは趣が異っている。
コアの部分に激しい闘争心があるのは「革命」という時代の景色があるからかもしれない。

革命を横目でみながら王侯貴族のためではなく国民のためでもなく、人類全体のために曲を書くと宣言したといわれるベートーベン。
そこには革命前の音楽家のように、パトロンとなる貴族のオーダー通りの曲を書く姿勢ではなく、自分の思いを込めた曲作りへと転じたベートベンの音楽革命があった。
音楽家が自分の感情を曲の中で告白することなどありえなかった時代!
ベートーベンは音楽イノベーションを起こしたのだった。

はて? 何かに似ている?
そう! 激動の幕開けとなった2020年の惑星配列が導いた大きな変革。
集合する惑星がトリガーとなり、社会機構の閉塞感への抵抗と反抗、そしてコロナ時代の到来。
形骸化したシステムの改定と新システムの構築。
世界中の価値観や思想の変更。
「自由・平等・博愛」を根底とした「個」の時がスタートを切った。
これらがベートーベンの生きた時代、そして作曲に対する思いとリンクした。

“我々は有限な存在でありながら無限の精神をもつ”
この晩、このことばで結ばれた特集に余韻を感じ、眠るまえにピアノソナタ「月光」を聴きました。
ぼんやりとした右脳が呼び込んでくれたベートーベン。
これからはお誕生日が同じということに誇りを感じて、情熱的かつ自由・平等・博愛を心情に前を向いて歩こう。

PS
大好きなスケート選手の宇野昌磨さんのお誕生日も12月17日です。




伊豆の友人からアケビが送られてきました。
いつの間にか秋が・・・そんな気がします。