大学の卒業旅行で、イギリスの各都市を回った私ですが、行く先々で買い求めたのが、香りの良いアイテムでした。たとえば、せっけんやバスオイル、バスキューブ、そしてポプリ。特にポプリはカラフルでうっとりするような良い香りのものが多く、片っ端から買い求めていました。

フランスが香水文化なのに対し、イギリスは生活の中で香りを楽しむ文化、といった感じですね。ベッド＆ブレックファストと呼ばれる民宿型のホテルの玄関先には、たいていポプリを入れた容器が置かれ、芳香を漂わせていましたし、美術館、博物館のエントランスに盛られていたことも。
このように、ポプリとイギリス人の生活は、切っても切れない関係のようです。
【2】
そんなポプリとは、皆さんはすでにご存じでしょうが、ドライフラワーを着色し、香りをつけたもの。お値段はピンキリですが、安いものでは袋にぎっしり詰まっていて、200円くらいからありました。当時、化粧っ気もなく、すっぴんにラフな格好で旅していた私。ブランド品には一切興味を示さず、とにかくポプリ中心に旅の記念品を買っていたのです。

また、当時ポプリはあまり日本では知られていなかったようで、帰国の際、税関で検疫に引っかからなかったんですよね。
今調べてみると、検疫の対象には、しっかりと「ドライフラワー」という記述があります。しかしながら、税関の係官に、「バッグの中身は何ですか？」と問われたとき、「ほとんどポプリです」と答えたのに、あっさり通過できました。
きっと係官も、ポプリなんて知らなかったのでしょう。

そして帰宅した私は、ウキウキしながら買ったポプリを袋から出し、サシェに詰め替える作業を始めました。そうやって小分けにし、タンスに入れて、衣類に香りを移すんです。
そのとき……、恐ろしいものが私の目に入りました。なんと、「見たこともない虫の死骸」が紛れ込んでいたのです！

「ギャー！」。思わず叫んだ私。
きっと、ポプリを作る最初の段階で、摘み取った花に虫が紛れ込み、そのままポプリになってしまったんでしょう。
いやー、怖かった。だって、日本では見かけない、巨大なハチだかアブだかの虫なんですよ！　恐ろしさと気持ち悪さのあまり、そのポプリは袋ごと捨てました……。

だがしかし、私の体験はまだマシだったのです。
友だちは、海外土産にもらったポプリから、混入していた虫の卵が孵化し、ニョロニョロと這い出してきた……という、もっとすごい恐怖体験をしていました。想像したら、叫び出しそうになりますよね。

以来、検疫の問題もあるし、ポプリの類は海外で買わないことに決めた私でした。皆さんも、お気をつけて！

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