誇り高き孤高の一輪

堂々たる大輪の花を咲かせるダリア。
この花ほど、“女神”としての威厳を放つ花はなかなかありません。
ピンク、黄色、白、チョコレート色など様々な色彩があり、なんといっても華麗なのは真紅のダリアです。

7月に生まれたあなたも、気品にあふれ、エレガントな立ち居ふるまいで人々を魅了します。
一見、近寄りがたく、孤高の女王のような雰囲気がありますが、人から愛されることを強く望んでいる人。心を許せば、親しく会話を交わし、相手を尊重する懐の大きさを見せます。ただし少々頑固なところがあり、一度「ノー」という判断を下せば、早々に立ち去る潔さを秘めています。二度と振り返ることはありません。

その性質をよく表しているのがダリアにまつわる伝説です。
この花をこよなく愛したナポレオン皇后ジョゼフィ―ヌ。パリ郊外のマルメゾン宮殿にある庭園には色とりどりのダリアが咲き誇っていました。

皇后は人々を庭園に招待しましたが、花を誰にも譲ろうとせず、門外不出としました。
ある時、ひとりの伯爵夫人が一輪譲ってほしいと頼みますが断られ、その腹いせに園丁を買収して皇后のダリアの球根を入手。近くで栽培して花を咲かせ、人々に自慢しました。
これを知った皇后はその後一切、自分の庭にダリアを植えようとしませんでした。

その潔さはなんとあっぱれでしょう! 愛してやまない花さえ捨て去る誇り高さは、自ら選んだ美に、確固たる自信をもっていたからこそ。他人と同じものを持って安心しがちな日本人とは正反対のエピソードですね。

あなたも、人生で何度となく、自分にしか為し得ない美―仕事、家、伴侶etc―を求めて生きるでしょう。

●この花のミューズ(女神):ナポレオン皇后ジョゼフィ―ヌ
ナポレオンの最初の妻であり、花を愛したフランス皇后(1763-1814)。マルメゾン宮殿にダリアやバラなどを集め、美しい庭園を作りました。園丁に栽培させた花々を宮廷画家P・J・ルドゥーテに描かせたことでも有名です。とくにバラの細密画集『バラ図譜』は現代まで私たちを魅了し続けています。

○杉原先生の著作
『神話と伝説にみる 花のシンボル事典』
定価:3,024円(税込)A5判・並製・284頁 ISBN:9784906828357
聖樹研究家の杉原梨江子先生が約220種の花の名前の歴史、物語、言い伝え、「シンボル」となるキーワードを丹念に集めました。植物学とは異なる、花の文化誌です。
http://www.setsuwa.co.jp/publishingDetail.php?pKey=177
http://setsuwasha.com/

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ケルトの森 木精占術
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