茅の輪くぐりの特別な意味

なんとなく空模様に影響されてか気分が晴れない梅雨の時期。
「今年こそよい年に」と迎えた新年も、半年が過ぎようとしています。
「おみくじでは大吉がでたのに……」とか、「プラスのこともあったけれど、マイナスなことがふたつもできて、結局、今のところは凹んでるのかな~」などなど、人それぞれ、そろそろ溜まってくるものがあって、年末年始のお祓い効果が薄れてくる時期かもしれません。

でも、日本の神様はそんな民草の鬱々気分はお見通し、というわけでお宮や神社では6月の末に「大祓」ともよばれる「夏越しの祓(なごしのはらえ)」が行われます。
梅雨を過ぎると暑さもきびしくなることから、厳しい夏を乗り切るための儀式なので「夏越し」と呼ばれたとも言われます。

神社本庁によれば、記紀神話に見られる伊弉諾尊(イザナギノミコト)の禊祓(みそぎはらひ)を起源としている行事だそうです。
また、日本神話の神、須佐之男命(スサノオノミコト)とも結びつく「蘇民将来(そみんしょうらい)」という民間信仰と関連づけられるなど、非常に古くから日本にあったものではないかとも言われています。

さてこの「夏越しの祓」、特徴は「茅の輪くぐり」(ちのわくぐり)。
茅(かや)などを束ねて作った、人がくぐって通れるほど大きな輪を何度もくぐり、そのあと拝殿で参拝するのです。
神社によって茅の輪の作り方や作法が、多少違う場合もあるようです。


一般的な作法では、まず「茅の輪」をくぐったら、左回りに輪の外を通って戻ります。そして二度目にくぐったら右回りに戻ります。それから左回りにもう一度くぐってから、社殿にお参りするのです。
くぐる際に唱えなければならない言葉があります。
「水無月(みなつきの)の夏越の祓する人は千歳(ちとせ)の命のぶというなり」

丸い輪は太陽とも考えられ「生命力の象徴」です。
また、古来、東洋の占いでは正面とは南側のことでした。
つまり輪をくぐる場合、南向きに輪に入り、左に回るとそれは東へ向かうことになります。「ひだり」とは「ひがたりる」こと、つまり太陽が昇ることを意味します。
そして次には右、つまり西側に回ります。「みぎ」は「みぎび」といい「見切る」に通じ、日が沈むことを表します。
東から西へ、つまり太陽の運行を模倣することで太陽の持つ生命力を得よう、というのが「茅の輪」くぐりに隠された意味なのです。

また故事によれば、小さな「茅の輪」を腰につけたところ災厄をまぬがれたとあります。この伝承にちなんで「蘇民将来子孫家門」というお札を掲げるところもあるようです。

じめじめ湿った気分を一掃するには、いろいろなやり方があるとは思います。
でも一番は、なんといっても古来の神様の力を借りる「夏越しの祓」ではないでしょうか?

大晦日と同じ「大祓」のパワーがあるとされる6月晦日(みそか)のお参りで、半年間溜まった心のほこりをキレイにお祓いしてもらって、すっきりして今年の後半を迎えたいものです。