もう一度、出会いたい! 幻のお花畑

確か、中学一年生の頃でした。5月の連休に、家族で近くの山へ、ワラビを採りに行ったんですよ。山々は新緑で美しく、まぶしいほど青々としていました。
最初のうちは、母と一緒にワラビを採っていた私ですが、山の奥に進んでいくうち、はぐれてしまいました。とはいえ、たいして高くもない山ですし、毎年のように訪れている場所。迷子になったところで、自力で戻れる自信がありました。

そして、どんどん山の斜面を登っていくと、いきなり開けた場所に出たのです。
まるでそこだけ別世界のように、木々に囲まれた花畑が広がっていました。
辺りは静かで、ときどき鳥の鳴き声が聞こえてくるくらい。神秘的な光景を前に、私は幻を見ているかのような感覚にとらわれました。
時折、暖かい風が吹いてきます。
その風は、草の匂いを運び、私の鼻先をくすぐりました。

すっかりその場所の虜になった私は、しばらく動けませんでした。
風と一体化し、自然と溶け込む感覚。そんな感覚に包まれながら、そのとき私は「このまま、時間が止まればいいのに」と思ったのです。
目を閉じると、まぶたに初夏の強い日差しを感じました。耳には、鳥のさえずり。そして、頬をなでるさわやかな風。
その場所は、私にとって特別な、秘密の花園になったのです。

けれど、夢のような時間は長くは続きませんでした。なかなか戻ってこない私を心配して、家族が探しに来たからです。
「おーい、そろそろ戻るど」と父に言われ、母にも「どこ行っとったんね。おらんけぇ、心配したんよ(どこへ行ってたの。いないので、心配したのよ)」と小言を言われました。私はしぶしぶその場所を離れ、父の車に乗り込んだのです。
家に帰ってからも、思い出すのはあの場所のことだけ。母が煮てくれたワラビの味も、よくわかりませんでした。

翌年のゴールデンウィークにも、同じ場所を見つけ出し、訪れることができました。秘密の花園の真ん中に立ち、再び自然との一体感を味わったのです。

ところが、その次の年に訪れたときには、秘密の花園が見つかりませんでした。あちこちを探し回ったのですが、発見できず。また、家族総出でワラビ採りに出かけることもなくなったため、それっきりに。
あの場所は、もしかすると、春の日に見た幻だったのかも……そう思うようになりました。でも、今も目を閉じると、あの鮮やかな緑と鳥の声、風の感触をハッキリと想い出せるのです。

☆三田モニカ先生の占いサイト!!
「驚異の成就力[星座力学×血液型で恋囲い込む激当て占術家]三田モニカ」
〔スマホ/PC〕
三田モニカ(フォーチュン・カウンセラー)監修:「なぜこんなにもあの人を好きになったの?」「どうして結ばれない?」それは【星座力学】と【血液型相性】の法則がダブルで働いているから。血液型星占いで知られる激当て占術家・三田モニカが新占術であなたの悩みを解消!
https://charge-fortune.yahoo.co.jp/stw/mita_stw/