この原稿をタイピンングしているのは、更新前のカウントダウンに入り、もうリミット寸前の時間です。でも、そんな時に限ってネコが甘えてスリスリしてきたり、急に映画を観に行きたくなるなど困ったものです。

川口俊和原作の「コーヒーが冷めないうちに」見たーーい。
でも、ここで映画館に直行するとマイバースディこのコーナーご担当の人の寿命を縮める事になるので「喝!」。気持ちを取り直して御仕事モードにはいることにしますネ。

今月はみなさんも一緒に考えて欲しいテーマがあるの。それは、いつもごくごく身近にあることなのに改めて考えることなんて一年のうちでも一度あるかないか? そんな事。
「幸せってどんなこと?」
実は私もここ暫くどころか、今年になってから一度も考えたことがない幸せについてのお話しです。

感じたことはあったけれど、つくづく考えることもないこのテーマ。何故かといえば、幸せってある意味曖昧な言葉なので、瞬間・瞬間には感じることがあっても今さら考えるという方向にはいかない。
そんなところもあって秋が深くなっていくこのシーズン、皆さんと一緒に幸せ論についてデスカッションしてみましょう。

幸せと不幸は、よく表裏一体としてとらえられています。まずは、このことについて考えてみましょう。
例えばコインの裏と表。
幸せが表で不幸せが裏。
とてもシンプルでわかりやすのですが、幸不幸とはそんな単純なものでしょうか。私は、それは、お金を中心に考えた時や誰かと自分を比較した時に生まれてくる感覚だと思っています。
でも、もちろん、お金や他者比較による上昇志向を否定しているわけではありません。ただ、それだけでは真の幸せには繋がらない。そこに、幸せの不思議な仕掛けがあるのだと思います。

ここで、ドキリとする事をひとつ書きましょう。それは、人は大なり小なり、不幸せな自分を抱えながら生きている。時々、私はそう思うのです。

「どうして、勉強ができないのかなぁ」、「あの人はいいなぁ。ピアノが弾けて輝いてみえる。何故私は何もないのかしら」そして「良いことがないかなぁ」と。

毎日不満と不安の連続。そして、幸せと思える状態がやってくると、今度は失いたくない心理が働いてかえって悩みが生まれてきてしまう。

でも、時が経ちふりかえってみると、そこにはたくさんの幸せのかけらが落ちていたことに気がつきます。「勉強はできなかったけれど友だちとの楽しい想い出がある」、「ピアノは弾ける人に任せれば良い。私にはもっと大切なものが見つかったから」。

こんなふうに風に幸せは、後になってから始めて気がつくものなのです。だから、今は不満や不安があっても、時間が経つことによって幸せの種が眠っていたと思える。その時を一生懸命生きていれば、やがて幸せへと変化していく。

そういった視点でとらえると、幸不幸は裏表の関係ではないと思えてくるでしょう。不幸と思える状況の、その時ですら幸せが静かに佇んでいる。本当の幸せって悲しみや不満のはるか向こうからゆっくりと歩いてくる。
そんなことではないかって私は思います。今自分は不幸だと思っている人は、やがて心のポストに届く幸せのメッセージを信じましょう。辛いことがあったあなただからこそ、真の幸せをかみしめることができるはずですよ。

でも、現実的には、たった今不幸のどん底にあり、悩みで心が壊れそう! マイナスの連続で追いつめられている、そんな時に更なる負の連鎖を防ぐにはどうしたら良いのか。
こたえは、目の前で起こっている不幸のひとつひとつを、虫メガネで見るように拡大して見ない事。そして、すぐに良し悪しの結論を出さない事。

何故って悪いことと決めてしまうと、その後にやってくることも全てが悪い方向にいってしまうからです。雨がザーザー降ることや、お日様がカンカン照ることは良くも悪くもないにかかわらず、心の状態ひとつで「あーーいやだ!」、でもテンションが高ければ「雨も素敵!」と大歓迎。心ってそんな部分があるのです。

そう考えると「どうして、悪いことは続くの?」、この疑問への答えが出そうでしょ?
心スイッチの切替ひとつで負の連鎖にストップがかかるのです。

さて、結論です。
「悩みは解決しなくては!」と思い込まないこと。

だって、自分だけでは解決できないこともあるのですから。そうであれば、暫く放っておきましょう。
えっ!酷い!そんな事言って欲しくない…、と思う人もいるでしょう。
でも、どうしてこの大胆な悩み解決法をお話ししたかと言えば、自分の過去を振り返り解決されていない悩みがあるからなの。相手あってのことや病気、その他様々な事情があってどうにもならない…。
その時の時間と空間のはざまで、どれだけ虚しく思ったことか。しかし、解決を見送った結果どうなったかといえば、いつの間にか消えてしまったことや時間と共に別の事柄に変化して気にならなくなった。

まさに時がしかけた魔法です。
全てに対して結論を出し、片づけるのではなくて、まずは保留。それは人生を歩いていく智恵のひとつではないでしょうか。

少し話が脱線した向きがあるのですが、このお便りで私が言いたかったことは、悩みや不幸せは、幸せへの桟橋だということです。どうですか、幸せって考えると、なかなか奥が深いでしょ?
11月の終わりはもう初冬ですね。こんなシーズンに「自分の幸せを哲学する」なんてどうかしら?

さてさて、映画は間に合いそうもないので、ネコさんとネズミごっこでもして遊びましょうか。これって、私にとって小さな幸せですが、真の幸せタイムです。

     エミール


ところで、こんな時、ネコさんも幸せを感じてるかな?



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