寒暖の差が大きかった二月は気象の乱気流のいたずらか、私の体調は上がったり下がったりと大変でした。
元気がない日はネコと一緒にお布団に潜り込んで春を待つ冬眠タイム。
これがまた、なかなか楽しい時間なのです。
元気がないのに楽しいなんて矛盾しているけれど、ネコと一緒に布団をかぶって丸くなっていると、まるで別世界にいるみたいで、創造力に磨きがかかる思いでした。
そういえば子供の頃、押し入れの中で(現代ではクローゼットでしょうか)本を読んだり夜になると屋根に布団を敷いて一晩中星を眺めていたり、ある時は松の木の上に基地を作って日暮れになっても、その秘密の場所から離れなかったこともありましたっけ。
そんなとき、ふつうの時間の中では得られないような面白い閃きや思いもかけないプロットを思いついていたものでした。
今風にいえば「エモい」時間だったのかもしれません。
私にとっては布団をかぶってネコと冬眠をしている時間もまた、幼少期の楽しい思い出へと時計をもどしてくれる、かけがいのない時間です。
とはいえ、日々布団をかぶっているわけにもいきませんよね。

2月のある日、歌舞伎のお誘いがあり新橋演舞場まで観劇に出かけてきました。
演目は「ヤマトタケル」スーパー歌舞伎です。
話には聞いていたけれど、古典(江戸時代歌舞伎)の演技と演出上の約束事(踊りや立ち廻り・隈取の化粧・音楽等など)を、伝統を損なわないように取り入れながら、なおかつ現代人に感動を与えるような作りになることを目指している。
そのスーパー歌舞伎を観る機会に恵まれたのです。
中村隼人さんと市川團子さんが交代で演ずるヤマトタケル。
橘姫は中村米吉さん、タケヒコは中村福之助さん、帝は市川中車さん。
全ての配役を書き出していると、それだけで終わってしまいそうなので、ここまでとしますが、キラ星のような出演者の役者さんの現実離れをした美しさに我を忘れて、「ずっきゅーん~!」

息を飲むようなシーンの連続に、あっというまの三幕終了でした。
原作で読むヤマトタケルミコトのお話はとても複雑です。
日本現存最古の書「古事記」では倭建命、日本書記では日本武尊という表記で登場します。
お話の詳しい内容は割愛しますが、タケルと父帝の確執をテーマにしながら話は進んでいきます。

人と人とが理解し合うことの難しさ、また愛することの喜びと悲しみ。
タケルがさまざまな困難にあいながら、現世での達成は叶わなくても未来へと天翔ける魂の浄化とともに幕となります。
白鳥に姿をかえたタケルが天のかなたに羽ばたいていくシーンは、久しく忘れていた心を揺さぶるような感動を与えてくれたのです。
時間と空間を超えたところへと魂を運ぶことも、ときには大切なんだなぁ、と思いながら帰途につきましたが、いみじくも空を飛ぶたくさんの鳥たちを見かけました。

さてと…今月は少し歌舞伎のお勉強と日本書記について調べてみましょうか?
ん? もうネコと布団シリーズはやらないのかって?
どうしましょうね。
あれはあれで、なかなかのカルチャーなのでエモーショナルが欲しい時にはやってみましょうかネ。
みなさんも如何?
日常的な常識から少し視点を外してネコと冬眠みたいな時間の中でクリエイティブタイムの創造をしてみては?

ところで3月13日は「天王星発見の日」です。
天王星は中世のオルガニスト、ウイリアムハーシェルによって1781年3月13日に発見されました。
最初は彗星と思われていた星でしたが、後に天王星と命名されます。
当時の常識では天体は五惑星。
これはプトレマイオスの天文学の体系として確立しており宗教、哲学の体系を支えていたわけですから、1500年以上にも渡って信じられてきたことがここで一挙に覆されてしまいます。

この時代は近代の夜明けといわれ、1779年の産業革命をはじめとして1789年7月14日に勃発するフランス革命。
ここで一挙にいきづまった状況が打ち破られていくのです。
今までになかったような新しい物理科学的な真理から、人心を動かすに足る説得力を持つ思想が誕生しました。
惑星が発見されたときは、その力が時代とシンクロするといわれていますから天王星の発見は、まさに革命的だったことでしょう。

みなさんもこの天王星発見にちなんで、ご自身の中でも何か自己革命をおこしてみませんか。
3月13日! この日を意識して気持ちを向けることで、もう心の中には革命がスタートしています。
さて、私はどんな革命をおこそうかな…。

エミール


2月に入って東京には久々の積雪。お昼近くになり新宿御苑を散策しましたが、雪を見ると子供の頃を思い出します。