『ウメ星デンカ』というのは、故郷のウメ星(ぼし)が爆発してしまったために地球に逃れてきた、ウメ星国の王室一家が 地球の普通の家に居候(いそうろう)するというマンガです。ウメ星国王と、おきさきと、デンカと、侍従のベニショーガという、なんと4人で居候しています。
ウメ星再建のお金を貯めるために、侍従のベニショーガは、フクロ貼りの内職をしています。それを手伝わせるために、ベニショーガは、召使いロボットの「ゴンスケ」を取り寄せます。 これで助かるはずだったのですが、このゴンスケがとんでもない性格だったのです。
王様をうやまわず、自己中心的で、口が悪く、要求ばかり多くて、きちんと働かず、いつも問題を起こして、あやまるどころか、威張っています。誰とでもケンカして、 みんな、とても手に負えません。
「あんなロボットをつれてくるからいけないんだ」
「ベニショーガの責任だい」
と、みんなは、侍従のベニショーガを責めてみたり、
「力を合わせてゴンスケに謀反(むほん)を起こそう」
と計画したりしています。
ベニショーガもゴンスケに、 「け、けしからん。スクラップにするぞ!」 と怒ったりしています。

そこに、ロボット会社から、サービス員がやってきます。 実はゴンスケには、「重大な設計ミス」があったというのです。 なので、今のゴンスケを引き取って、ちゃんとした新製品と交換するために、やってきてくれたのです。 みんな、いったんは喜びますが、いざとなると、
「ゴンスケはもう家族と同じだよ」
「それに、あいつにもいいとこあるぞよ。生意気で強情で、にくたらしくて……」「いいとこないなあ」
などと言い合って、 けっきょく、ゴンスケをかばいます。
ロボット会社のサービス員は、
「あんなのをほっといては、わが社の信用にかかわりますから。ぜひつれて帰ります」
と引き下がらず、ゴンスケをつかまえようとします。
みんなはいろんな手段を使って、必死でゴンスケをかばい続け、ついに根負けしたサービス員は、「そんなに言うなら、いいですよ、もう」 と、あきらめて帰ります。
感動するゴンスケですが、 困った性格はそのままで、 やっぱりまたすぐにみんなとケンカになります。
さて、もしあなたがゴンスケの持ち主だったとしたら、ロボット会社からの交換の申し出に応じますか?

A.「不良品の相手をしていたのでは、みんなに悪影響があるし、このまま迷惑し続けるのは、みんなのためにならないから、交換してもらう」
B.「いつか当人も反省して態度を改めるだろうから、それを信じて、このまま置いてあげる」
C.「不良品だし、みんなの迷惑だと思いながら、このまま置いてあげる」

心が決まったら解説を読んでください。


このテストから学ぶテーマ
【ワクチン友達】を大切にしよう!
「あの人と友達でいても、得るものは何もないから、もうつき合いを断とうと思う」
「迷惑ばかりかけられて、私の大切な時間をとられてしまう。私にとってマイナスなだけの存在で、何のプラスもない」
そういうことを言う人が、このところ本当に増えてきました。
「あんな人と友達でいても、あなたにとっていいことはないから、切ったほうがいいよ」と人に忠告する人も増えました。
自分にとってマイナスな友達や知り合いは切り捨て、自分にとってプラスな友達や知り合いとだけつき合う。そうすれば、自分をどんどん伸ばしていけるだろう、磨けるだろう、ということでしょう。
そういう考え方の背景には、「自分をもっと向上させたい」という思いがあり、それ自体は、もちろん素晴らしいことです。しかし、そのために、マイナスの友達や知り合いとのつき合いを断つというのは、じつは、まったく逆効果なのです。自分を向上させていけるどころか、じわじわと自分を下げていくことになります。精神の健康にとっても、とても危険なことです! そのことをぜひお伝えしたいと思い、今回のテーマに選びました。
「そんなバカな!」と思う人も多いでしょう。
前向きで明るくて成功している人と話をすると、こっちまで前向きで明るい気分になってきて、いわゆる「元気をもらえた」「勇気をもらえた」状態になります。
逆に、後ろ向きで暗くて失敗続きの人と話をすると、こっちまで後ろ向きで暗い気分になってきて、「元気をうばわれた」「勇気がしぼんだ」状態になってしまいます。それは確かに、その通りです。だとしたら、それを積み重ねれば、 大きな差になるはず。
「良い影響だけを得るようにして、悪い影響を排除するようにしたほうが、いいに決まっている」と思うのは無理もありません。
しかし、人間というのは、そんなに単純ではありません。 良い影響も、悪い影響も、貯金箱の小銭のように、入れた分だけ単純にたまっていくわけではありません。良い影響ばかりだとかえって悪く作用したり、悪い影響がかえって良く作用したりするのが人間なのです。
アメリカのある科学研究所は、研究所内がいつも完全に一定の温度に保たれていました。寝泊まりもそこでしていて、長年、研究所から一歩も出ていなかった熱心な研究員が、日本に帰ってきました。しかし、とたんに体調を崩して、短期間に病気で亡くなってしまったそうです。長年、一定の温度で生活してきたので、日本の四季の変化に耐えられなくなっていたのです。
人間の心も実は同じことです。不快な人間とのつき合いを断って、好ましい人間とばかりつき合っていると、人間に対する適応力が弱まっていってしまいます。エアコンを使うようになってから、「熱い」「寒い」ということは言っても、「あたたかい」「涼しい」という言葉を使う人が減ったと言われます。
あまり快適な温度で暮らしていると、《快適温度帯》が狭まってしまって、ちょっと温度が高くなっても、すぐに「暑い」と感じたり、ちょっと温度が下がっても、すぐに「寒い」と感じてしまうのです。
多少の温度変化なら、「あたたかい」「涼しい」と平気で心地よく感じられるのは、もっとすごい暑さや寒さを体験して、それに耐える力を持っている人だけなのです。
人間関係も同じことで、不快な人間を切り捨てて、好ましい人とばかりつき合っていると、以前は好ましかった人まで、 だんだん不快になってきたりします。
ちょっとしたことで、許せなくなったり。これは《快適人間帯》が狭まってしまったということです。
独裁者が自分に反対する者たちを次々と処分したあげく、だんだん側近たちまで処分し始めて、ついには孤独地獄に陥るのも、このためです。
《快適人間帯》が広いほど、いろんな人と快適につき合うことができます。社会に出て、何かをしようとすれば、どうしたって、さまざまな人と出会います。《快適人間帯》は広いほどいいのです。
では、《快適人間帯》を広げるにはどうしたらいいのか?《快適温度帯》を広げるには、すぐにエアコンを使わずに、暑さや寒さに耐える工夫をできるだけすることです。《快適人間帯》の場合も、不快な人間とつき合うことこそ、最も効果的なのです。
たとえばインフルエンザなどの病気を予防するために予防接種を受けますが、予防接種に用いるワクチンはその病気の菌の力を弱めたものです。弱い菌によって免疫をつけておけば、強い菌が入ってきたときにも抵抗力があります。無菌状態で育った人が病気にかかりやすいことの逆のパターンです。
それと同じで、人間関係においても、不愉快な友達とつき合っておくと、人間関係の免疫力が高まるのです。
「でも……」「だけど……」「ちがうと思う」とすぐに反論したり、あなたとまるで意見や価値観が合わなかったり、一方的に迷惑ばかりかけられたり、会っていると不愉快な気分になる友達は、あなたにとって有益な【ワクチン友達】なのです。マイナスではありますが、それがあなたのプラスの力を育てるのです。【ワクチン友達】をぜひ大切にしてください。
また、『努力してもむなしいだけだよ。自分はすごく努力をしたけど、けっきょく失敗したから。』などと、こっちのやる気まで失われるような人としゃべるのは、悪影響があるだけだと思う、という人もいるかもしれません。
でも、こういう人も、立派な【ワクチン友達】なのです。心理学者の川井栄治氏・吉田寿夫氏・宮本博章氏・山中一英氏らが、こんな実験をしています。
小学校高学年の生徒に「努力したけど失敗した、という経験をして、努力したってむなしいだけ」という考え方をする主人公が出てくる話を聞かせます。
その後で、主人公の考え方に反論してもらいます。すると、反論した子供たちは、反論しなかった子供たちに比べて、自信がつき、何でもうまくやれそうという気持ちが高まっていたのです。
「努力すれば、きっとうまくいく」などと反論することで、自分自身まで説得されたわけです。しかも、3ケ月後になっても、その前向きな考え方は持続していたのです。頑張って勉強したのにテストの点が悪かった、というようなときでも「勉強してもムダだ」とは考えず、授業全般に積極的になり、苦手な科目でも「努力すればもっとよくなる」と思えるようになっていたのです。
つまり、ネガティブなことばかり言う人がいたら、相手がネガティブなことを言うたびに、「そんなことはない!」と前向きな説得を続ければいいのです。疲れますが、それだけの価値はあります。
ネガティブなことばかり言う人も、実はこちらの接し方次第で、自分にとってとてもプラスな存在になりうるわけです。今はネットの発達もあって、自分と気の合う人とばかりとつき合うことが、かなり容易になってきています。
でも、考えてみてください。のび太がもし、ジャイアンやスネ夫とつき合いを切って、同じのび太的な友達とばかりつき合っていたら、いったいどうなってしまうでしょうか? 第一、ジャイアンやスネ夫のいない『ドラえもん』なんて、読みたくないでしょう。ジャイアンやスネ夫がいるから、面白くなるのです。人生も同じです。【ワクチン友達】がいるから、盛り上がるのです。
ドラえもんは、とても役立つ友達ですが、ゴンスケは、何の役にも立ちません。むしろ、迷惑ばかりかけます。それでも、やっぱりゴンスケも愛すべき友達です。ぜひ、ドラえもん的な友達だけでなく、ゴンスケ的な友達も大切にしてあげてください。
<賢者の答え>

A「不良品の相手をしていたのでは、みんなに悪影響があるし、このまま迷惑し続けるのは、みんなのためにならないから、交換してもらう」というあなたは……
嫌な相手とはつき合いたくない。迷惑をかけられたくない。それは当然の感情です。それに、パワハラやセクハラをしてくる相手とか、借金の肩代わりをさせようとする相手とか、そういう相手なら、もちろん関係を断てる場合には断ったほうがいいに決まっています。それはワクチン(弱い菌)ではなく、強い菌なので。
ただ、そこまでではなく、たんに疲れるとか不愉快とか気分が悪くなるというレベルなら、関係を断たないほうが、あなたのためです。強い菌に抵抗できる力をつけてくれるのは、そういう【ワクチン友達】なのですから。
快適な友達や知り合いとばかりつき合っていると、気分はいいですが、《快適人間帯》が狭まってきて、人間関係力が衰えてしまいます。そうすると、たとえば性格の悪い人が上司になったりしたときに、ひとたまりもありません。嫌な相手や、迷惑をかける相手は、あなたの免疫力を高めてくれます。そうすれば、とんでもない相手が現れたときにも、負けずにすみます。
難しいことではありますが、【ワクチン友達】も大切にしてみてください。その人以外の人たちとのつき合いが、とても円滑になることに気づけるはずです。

B「いつか当人も反省して態度を改めるだろうから、それを信じて、このまま置いてあげる」と思ったあなたは……
相手の誠意を信じてあげるあなたの姿勢はとても立派です。ただ、相手が変わることを期待するのは、どうしても期待外れに終わってしまうことが多いものです。
ゴンスケの場合も、大いに反省したはずなのに、またすぐに元のゴンスケに戻ってしまいます。 他人を変えようとしたり、変わってくれると期待したりするのは、無理があります。
でも、それは「こいつはもうダメだ」と見捨てるということではありません。 変わらない、ダメなままの相手でも、そのままつき合ってあげるということです。 それは我慢が必要ですし、辛いし、面倒なことです。でも、自分がソンをするばかりではありません。じつは、大きな報酬があります。
不愉快な相手によってこそ、人は心を育てることができるのです。向上することができるのです。 そう思えば、まだ我慢もできるのではないでしょうか。優しいあなたなら、なおさら。

Cさん「不良品で、みんなの迷惑だけど、このまま置いてあげる」と思ったあなたは……
あなたはよほどやさしいか、あるいは、不愉快な人間もいたほうがおもしろいということをわかっている人なのでしょう。好ましい人たちとしかつき合わないのは、いつも一定の快適な温度に保たされている部屋で生活するようなもの。どんどん《快適人間帯》が狭まって、人間関係力が低下してしまいます。 不愉快な人ともつき合っていれば、怒ったり、あきれたり、悩んだり、さまざまな心が動きます。疲れますが、それはバーベルの上げ下げで疲れるようなもので、疲れた分だけ心に力をつけてくれます。 「イヤなやつだからこそ、いてくれたほうが面白い」とまで思えるようになれば、実際に面白く人生を送ることができるでしょう。
とても不愉快なキャラのゴンスケですが、藤子・F・不二雄先生はお気に入りで、じつは『21エモン』というマンガにも登場しますし、『ドラえもん』や『チンプイ』にもちらっと出てきます。こういうキャラがいたほうが、おもしろくなるのです。


津田先生より
「私にも【ワクチン友達】がいっぱいます。ちょっといすぎかもしれません(笑)ときどき、さすがに我慢しかねて、「もう連絡をとらないようにしようか」と思ってしまうこともありますが、「いやいや【ワクチン友達】だから」と思い直すようにしています。
私は「怒らないですねー」と感心されることがあります。でも、温厚でやさしい人柄なわけではありません。もともとは、短気で怒りっぽいほうです。でも、怒らないと感心してもらえるのは、多分、【ワクチン友達】のおかげだと思います。【ワクチン友達】に比べると、他の人たちはものすごくいい人たちに思えるので(笑)」

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スタッフより
津田先生の解説と少しだけ離れてしまいますが、人間関係で「切る」という言葉を使うのってオッカナイなあ~と思っています。本当は、「切る」って、人に対して使ってはいけない言葉だと思いませんか。
言葉はすべて、誰かに気持ちを伝えるために昔の人が考えたもの。だから、口から発するものはとくに、思いやりのある言葉を選んでいきたいですよね。
私も【ワクチン友達】を、大切にしよぉ~っと(^o^)