春から太陽の光が強く刺し込むある年、ロシア全土がひどい旱ばつで、天からの雨の恵みがないまま真夏を迎えていました。炎天下が続き、作物も穀物も水がなく、死神のカマに刈られるように次々と枯れ、そして猛炎に倒れていったのです。
ある日のこと、母親が病床から弱々しい声で、
「ソニア、冷たい水が飲みたい……」
と、言いました。しかし、家の井戸は枯れ、一滴の水もありません。そこで、ソニアは遠くの山の中にある泉まで水を汲みに行くと決心しました。険しい山谷を越え、ようやく泉にたどりついたソニアは、ひしゃくにいっぱいの水を汲み、帰り道を急ぎました。里が近くなったところで、どこからやってきたのか一匹の白い子犬がすり寄ってきます。のどが渇いて今にも死にそうに弱っている子犬を目の前にして、ソニアは静かに頭をなでながら水を与えました。すると、不思議なことに木のひしゃくは銀に変わったのです。
それからもう一度、泉まで戻り、水を汲んだソニアは、家がとても近くなったところで、旅の老人が道ばたで座り込んでいるのを見つけます。
「ああ、その水を私に飲ませてくださらんかな……。死にそうなのじゃ……」
ソニアは、優しく老人を抱き起こし、背中をさすりながら水を与えます。
「あなたは、心があたたかい娘じゃ。きっと、神さまが助けてくださいますよ」
そう言い終わると、老人はフッと姿を消してしまいました。再度、泉から水を汲み、ひしゃくを見ると、なんと黄金色に変わっているではありませんか!
さて、明け方近くになり、ソニアはようやく母親に水を飲ませることができました。
「ああ、おいしい。何だかすっかり病気が治ったような気がするわ」
と言って起き上がり、ソニアを抱きしめる母親の胸の中で、「やはり神さまが助けてくださったのだ……。もしかして、あの旅の老人が神さまの化身だったのかしら……」とソニアは思いました。
その時、ひしゃくにはキラキラと七つのダイヤモンドが輝き、いつの間にかそのまま天に昇り、北斗七星の形に変わっていきました。

今回は、“戦争と平和”の作者、トルストイの民話集の中から、天空にきらめく七つ星のお話でした。

5月12日はナイチンゲールの日。ナイチンゲールはクリミア戦争で、敵味方の区別なく傷ついた兵士を手厚く看護した心あたたかい、勇気ある女性です。
今週、天空の星たちは、愛と勇気の調和を作り、優しく強い心を応援します。