蝶のように軽やかな花の、ほのかな香りが心を癒す

ピンク、イエロー、紫、白、赤………陽ざしに透きとおる花びらは可憐で、風にゆれるとふわっと香りが漂います。
和名は「麝香連理草(じゃこうれんりそう)」。連理とは、葉や花が向き合う形のことで、「男女一体」を表します。
花の姿が蝶の飛び立つ姿を思わせることから、「旅立ち」を守護する花でもあるんですよ。

スイートピーを象徴するミューズは、イギリス国王エドワード7世の王妃アレクサンドラ。自分の人生をスイートピーでいっぱいにした女性です。
食卓や寝室など日常の場はもちろん、結婚式、お祝いの式典などでもスイートピーを飾らせました。
王妃の住む宮殿はスイートピーの香りで包まれたと伝えられています。

花は幸せへの願いを託すものでした。
夫エドワード7世は愛人が100人いたと言われるほどの浮気症で、お気に入りの女性を公式寵姫として、宮殿に住まわせました。アレクサンドラ王妃は明るい性格で誰からも愛されましたが、ただひとり、夫からは無視され続けた哀れな妻だったのです。
スイートピーは彼女の悲痛な叫び。
「私はここにいます、私を見て、私を愛して」。
彼女の名前が歴史の表舞台に刻まれることはありませんでしたが、スイートピーの王妃として、花の文化史にその名を残すことになりました。晩餐会や戴冠式など公の場でメイン・フラワーとして飾ったため、世界各国にスイートピーが広まったのも彼女の功績です。

このエピソードは、花がどれほど人の心を癒してくれるかを伝えています。
ひとりぼっちがつらいときは王妃のようにスイートピーの花を飾り、部屋を香りで満たしましょう。美しさと誇りを失わない強さをくれるはずです。

<4月に生まれた人へのメッセージ>
あなたはスイートピーの残り香のような人です。
会ったあと、人はまたあなたと会いたいと思うでしょう。繊細で優しく、目の前の相手に誠意を尽くして接しようとするからです。
いっぽうで、優柔不断で、物事を曖昧なままにしておいたほうが万事うまくいくと思うところがあります。ときにはしっかり決断しないと大切なものを失います。ひとりよりふたり、何事も二人三脚を心がけると、夢への道が拓けていきます。

●この花のミューズ(女神):イギリス国王エドワード7世の王妃アレクサンドラ(1844-1925)
現イギリス女王エリザベス2世(1926-)の曾祖母にあたる女性。デンマーク国王クリスチャン9世の長女で、コペンハーゲン生まれ。美人三姉妹で知られ、二女はロシア皇帝アレクサンドル3世の皇后マリア・フェオドロヴナ。
夫エドワード7世との間に三男三女をもうけるが、絶えない不倫と冷え切った夫婦関係で結婚生活は寂しいものだった。次男がジョージ5世として王位を継承した。享年80歳。

○杉原先生の著作
『神話と伝説にみる 花のシンボル事典』 説話社刊
定価:3,024円(税込)A5判・並製・284頁 ISBN:9784906828357
http://www.setsuwa.co.jp/publishingDetail.php?pKey=177
http://setsuwasha.com/


○杉原先生の携帯サイト(フィーチャーフォン)
ケルトの森 木精占術
http://celticforest.jp/


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月に1度、『神話と伝説にみる 花のシンボル事典』から季節の花を紹介しています。
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