愛をつなぎ、お互いの思いを届けたスミレ

春にはまだちょっと遠い季節、花壇にスミレを見つけると嬉しくなりますね。
青みがかった紫や白の花びらがちょこんと頭を下げて咲いています。
その控えめな姿から「謙虚」のシンボルです。
香りは豊かで、目に見えない魅力で人々を酔わせる恋の花。
スミレを贈ることは「変わらない愛」を約束することなのです。

スミレを象徴するミューズは、ナポレオン1世の最初の皇后ジョゼフィ―ヌです。
ゴージャスなバラやダリアとともに語られがちな女性ですが、ひっそりと咲くスミレの花もジョゼフィ―ヌには大切な花。
それは愛するナポレオンお気に入りの花だったからです。

2人にとってスミレは愛を確かめ合う小道具。
ウェディングドレスにはスミレの刺繍。
結婚記念日や誕生日にはナポレオンからスミレの花束が贈られました。
世継ぎを生めなかったために離婚した後も、ナポレオンはスミレを贈り届け、ジョゼフィ―ヌがこの世を去るまで友情は続きました。
ナポレオンの死後、胸元につけていたペンダントからはらりと落ちたのはスミレの花びら。それはジョゼフィ―ヌの墓から彼が摘んだ、スミレの花だったと伝えられています。

歴史の表舞台を駆け抜けた2人ですが、晩年は離れ離れでした。
スミレの花が愛をつなぎ、お互いの思いを届けてくれました。

内に秘めた思いがあるなら、表に出してみませんか。
あなたの真実の言葉を。
たとえ会うことができなくても相手に心を、届けることはできるとスミレの花が教えてくれています。

<2月に生まれた人へのメッセージ>
あなたはスミレのように可憐で、優しい人です。
控えめで謙虚なところが魅力ですが、じつは芯の強さを秘めています。
忍耐を必要とする時期も凛として、現実から逃げません。
目立つタイプではありませんが、出会った人の心に残る存在感をもつあなたです。

●この花のミューズ(女神):ナポレオン皇后ジョゼフィ―ヌ(1763-1814)
ナポレオン1世の最初の妻。パリ郊外にあるマルメゾン宮殿にバラ、ダリアなどの新種を集めて花の庭園を作ったことで有名。美意識が高く、ナポレオンとともに質の高いジュエリーを身につけ、フランスの宝飾美術にも影響を与えた。後継者を生めなかったために離縁されるが、2人は文通を続け、友情は続いたとされる。ナポレオンのエルバ島からの帰還を待たずに死去。

○杉原先生の著作
『神話と伝説にみる 花のシンボル事典』
定価:3,024円(税込)A5判・並製・284頁 ISBN:9784906828357
聖樹研究家の杉原梨江子先生が約220種の花の名前の歴史、物語、言い伝え、「シンボル」となるキーワードを丹念に集めました。植物学とは異なる、花の文化誌です。
http://www.setsuwa.co.jp/publishingDetail.php?pKey=177
http://setsuwasha.com/

○杉原先生の携帯サイト(フィーチャーフォン)
ケルトの森 木精占術
http://celticforest.jp/


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月に1度、『花のシンボル事典』から季節の花を紹介しています。
毎月・第3火曜日の19時25分から。
番組名:エフエムふくやま・本の情報番組「ブック・アンソロジー」<もっと素敵にマイライフ>のコーナーにて。
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